効果を実感するにはほど遠かったものの、私は言葉では表現できない感覚を味わっていた。たしかに、思えば私の頭はいつも過去と未来を行ったり来たりしている。私が気にかけているのは「過ぎ去った私」と「これから来るかもしれない私」のことばかりで、「いまここにいる私」ではなかった。

「言ってみれば、これは心のストレッチじゃ。決まった方向ばかりに関節を曲げていたら、身体が固まってくるじゃろ。いつもと違う方向に少しだけ関節を曲げて、疲れづらい・ケガをしづらい身体をつくるのがストレッチじゃ。人間の脳も放っておくと、現在以外のことばかりに向かってしまう。ここであえて現在のほうに意識をストレッチしてみる。こうやって疲れづらい心をつくっていくわけじゃな」

昨晩に膨大な実験データを見せられたこともあって、ヨーダの言葉はストンと私の腹に落ちるところがあった。これくらいなら続けることができそうだし、やる意味もあるかもしれない。