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日本を元気にする経営学教室

長期と短期の競争戦略はどう影響しあうか
―適切な競争戦略策定のための方法論とは―
京都大学大学院経営管理研究部教授 成生 達彦

遠藤 功 [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],河野宏和 [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]
【第19回】 2010年10月18日
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 企業間の競争は、価格や生産量をめぐるものだけではない。それは生産費用を低下させるための研究(技術)開発、販売促進のための広告、製品多角化や差別化、さらには流通経路の整備など、さまざまな局面に及んでいる。

 お金を出せばすぐに新しい技術を開発できたり、商品の認知度が高くなったりするわけではなく、これらの活動は、成果が出るためにはある程度の時間がかかるという意味で、長期的な戦略である。そしてその成果が、価格や生産量をめぐる短期的競争の環境を規定するのである。今回は、長期と短期の競争「戦略」について考えてみよう。

 ここで「戦略」とは、自分の行動に関する相手の予想に影響を与えることによって、相手の行動を自分にとって有利な方向へ向かわせることである。

 市場には代替的な財を供給する2つの企業、自社(企業1)とライバル(企業2)が存在し、最初(第1段階)に、企業1が長期戦略の水準を決定し、その成果が実現した後(第2段階)に、それを所与として各企業が短期戦略(価格または数量(市場シェア))を決定するという状況を想定する。

 この状況で、短期的競争が価格をめぐって行われるか、数量をめぐって行われるかで、長期戦略の効果が異なるのである。それは、価格か数量かによって、ライバルの反応が違ったものになるからだ。

広告の効果がもたらす
二つの帰結とは

 まずはじめに、長期戦略として広告を考えてみよう。企業1は、第1段階で広告を出すことによって、自らが供給する財に対する需要を増やすことができるとする。この広告は、ライバルの財についての需要に何ら直接的な影響を及ぼさない。また第2段階で、各企業は供給量を決めるものとする。

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遠藤 功(えんどう いさお) [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長]

1956年生れ。79年早稲田大学商学部卒業、三菱電機入社、米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。その後、米系戦略コンサルティング会社を経て、2008年から早稲田大学ビジネススクールのMBA/MOTプログラムディレクターとして、ビジネススクールの運営を統轄。また、欧州系最大の戦略コンサルティング・ファームであるローランド・ベルガーの日本法人会長として、経営コンサルティングにも従事。『MBAオペレーション戦略』『現場力を鍛える』『見える化』など著書多数。

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

河野 宏和(こうの ひろかず) [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]

1980年慶應義塾大学工学部卒業、82年同大学院工学研究科修士課程、87年博士課程修了、同年慶應義塾大学大学院経営管理研究科助手、91年工学博士、91年助教授、98年教授となる。2009年10月より慶應義塾大学大学院経営管理研究科委員長、慶應義塾大学ビジネス・スクール校長を務める。1991年7月より1年間、ハーバード大学ビジネス・スクールヘ留学。IEレビュー誌編集委員長、TPM優秀賞審査委員、日本経営工学会理事。


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国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入。にもかかわらず、日本企業には閉塞感が漂う。この閉塞感を突破するにはどうしたらよいのか。著名ビジネススクールの校長・元校長で、経営学のリーダーたちが、リレー形式で、問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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