ダイハツ工業の品質不正問題で、国土交通省が是正命令を出すことを検討している。不正が長きにわたり横行した背景に企業体質があるとみて、組織風土や上層部の関与の有無も重点的に調べるもよう。一連の騒動はダイハツと、親会社であるトヨタ自動車に責任があることは紛れもない事実だ。ただ、広く日本企業が自戒を込めるべき三つの教訓がある。(未来調達研究所 坂口孝則)
ダイハツの認証不正の衝撃
売り上げ依存度が高い中小企業も
ダイハツ工業の認証試験不正で大きな波紋が広がっている。発端は2023年4月、内部通報を基に不正があったことを公表。翌5月には第三者委員会を設置し、全容の解明と原因の追求を行ってきた。ここまでについての筆者の考えは、過日『ダイハツ、2度の不正発覚!不祥事組織にプレッシャーはつきもの…では「足りない」のは?』でまとめた通りだ。
そして12月20日、新たに174件の不正が見つかったと発表した。国内外64車種とエンジン3種の試験で不正があり、古いものでは1989年からあったという。これを受けて国内の全工場の生産を2024年1月末まで停止することを決めた。
ダイハツは、「軽自動車シェアランキング17年連続1位」とうたっている。そしてトヨタグループにおいて「軽自動車を中心とする小型車両の戦略的メーカー」と位置付けられている。他メーカーから受託製造もしているゆえ、出荷停止はメーカー横断(トヨタ、マツダ、SUBARU)の事態に発展している。
サプライチェーンへの影響も甚大だ。記者会見では「国内の仕入れ先は423社あり、このうちダイハツへの売り上げ依存度が10%以上の会社が47社。そのうち34社は中小企業」と明かしている。何しろ1月末まで大阪府、京都府、滋賀県、大分県の完成車工場を停止するのだ。発注済みの部材は受け入れるだろうが、それ以外の内示分はどうするのか。会見では、「個別で補償を協議する」と言っていたが…。
一連の騒動はダイハツと、そして親会社であるトヨタ自動車に責任があることは紛れもない事実だ。ただ、製造業はもちろん、広く日本企業が自戒を込めるべき三つの教訓があると考えている。