8月7日に開幕した甲子園。この大会が始まる前に大きな話題となったのが、「女子マネ、グラウンドから退場」問題だ。「練習補助員は男子部員に限る」という規定により、練習を手伝っていた大分高校の女子マネジャーが注意を受けてベンチに下がったのだ。この報道を受けて、ネット上では「性差別ではないのか」という議論が巻き起こった。さらに、坊主頭の半強制など高校野球に見られる「古い体質」を指摘する声も。暑い夏に突如起こったこの問題について、識者たちに意見を聞いた。(取材・文/小川たまか、プレスラボ)

世の中と最もずれている競技!?
議論が沸いた女子マネ問題

「世の中と最もずれている競技になりつつある」

 ツイッターでこうコメントしたのは陸上競技選手として五輪に3大会連続で出場した為末大さん。報道を受け、ネット上ではすぐに議論が巻き起こった。

 ことの発端は、8月2日に行われた甲子園練習だ。グラウンドに出てノックのボール渡しなど練習を手伝っていた大分高校の女子マネジャーを、大会関係者が慌てて制止した。大会規定では安全面を考慮して「練習補助員は男子部員に限る」と定められていることが理由だった。

 大分高校の監督は、「(ずっと一緒に練習を続けてきたことの)ご褒美をという思いから、グラウンドに立たせてあげたかった」と語ったと報道されている。規則でユニフォームを着ないとグラウンドに立てないことからマネジャー用のユニフォームを作ったとも。このマネジャーは普段からグラウンドで練習補助を行っており、当日も「慣れた手つき」でボール渡しを行っていたという。

 ネット上では、「時代錯誤では?」「相撲の土俵みたい」「安全面が理由なら、男子でも危険ではないのか?」など、非難が噴出した。ツイッター上で意見を表明した有名人は為末さんだけではなく、脳科学者の茂木健一郎さんも「『丸刈り』を含め、謎の様式美、禁則が多すぎますね」とつぶやいた。

 茂木さんが指摘するように、高校野球については、今回のような問題だけではなく、坊主頭の半強制、投手の球数制限が設けられていないことなど、毎年のように「古い体質」や「根性主義」が指摘されることがある。この件について、識者たちはどう見るのか。意見を聞いた。