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中国製品、脱ニセモノ化も「ブランド確立」の高い壁

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第213回】 2016年8月12日
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 「中国、こんな商品まで売られているんです」

 出張先の上海で会社経営者の林田聡さん(仮名)は、カーナビゲーションが日本円にして3000円ほどで販売されているのを通販サイト「タオバオ」で発見した。日本地図こそインストールされてはいないが、日本の量販店で購入しようとすれば、パナソニックの「ゴリラ」の売れ筋で5~6万円はする。

 「これはニセモノだろうか?」と首をひねる林田さんだが、それは日本ブランドのコピー品ではなかった。商品名はある。だが、中国の自動車業界を熟知する林田さんですら知らない“無名ブランド”だった。「名もない中国企業でも日本ブランドと同等のものが作れるようになったということですね」と林田さんはつぶやく。

 しかし、林田さん警戒を解かない。「この商品、コピー品ではないけれど極めてグレーですよ」。

 林田さんが不安になったのはほかでもない。この商品にブランドがないためだ。例えば、パナソニックのゴリラなら、多少値段は高いがそれに見合ったサポートを得ることができる。故障しても期間内であれば保証を受けられるし、地図を更新するにも期間内であれば無料で更新できる。

 仮にこの3000円のカーナビを購入して日本で使うならば、「使い捨て」を覚悟しなければならない。トラブルが発生しても、この中国メーカーによるサポートは期待できない。そもそもアフターサービスという概念が定着していない中国では、商品を売り逃げするメーカーはまだまだ多いのだ。

 近年は、日本のカー用品アフター市場に中国メーカーが生産した部品や付属品が入り込むようになってきている。“中国製・無名ブランド”は通販サイトなどで散見されるが、さすがに大手流通小売業界では「権利侵害はしていないが、どこか怪しげなパーツ」には距離を置く。都内のカー用品の販売に携わる専門店従業員は次のように明かす。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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