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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

リーダー交代で“うるさい守旧派”はこうして外される

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第48回】 2016年8月15日
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モメそうな会議をうまく収める
「会議の達人」がかつてはいた

あなたの会社では、会議で各派閥が揉めることはありませんか?

 世の中には、モメそうな会議を見事に収める技術を持つ「会議の達人」がいる。かつては大きな会社には、必ずといってよいほど、この手の調整に卓越した能力を示す人がいた。内容については完全に中立である。興味関心と達成すべきは、議事が前に進むことだけであり、私心のかけらもない。

 昔、『Popeye』や『Hot Dog Press』などの男性向け雑誌には、「女性と一緒に座るときは、正面よりも横並びやL字のほうが親密になれる」「右脳に訴えかけるために、女性の左側に座ったほうがいい」などの、「近接心理学」を活用したモテ情報が書かれていた。「会議の達人」の手法はこれらを駆使する。

 会議での席順は話の中身同等、場合によってはそれ以上に重要だ。喧嘩にならないよう、意見が対立する人たちを正面に座らせず、反対意見を出す(であろう)人たちが「マイノリティ」に見えるよう、適度に席を散らしておく。議題の順番も同様に重要だ。紛糾した議題のあとは誰もがイライラして、空気も重くなっている。すると、もともとモメそうな議題であれば、さらにモメる。そこで、直前の議題まで続けて、サクサク採決できるもので固めたほうがいい。これも、モテ情報の雑誌の類によく載っていたような話に近い。

 会議の前にすることもある。一度反対派の急先鋒の意見をじっくりと聞いておくのだ。原始的なテクニックだが、二度同じテンションで激昂できる人はなかなかいない。言い分を聞いてやるだけでガス抜きになる。また、彼らも自分たちの意見がすべて通るなどとは思っていないから、10個聞いたら1個反映するくらいの割合でも、十分「自分たちのために動いてくれた」と感じるはずだ。推進派にしっかりと働きかけて一部を譲歩させる。すると、反対派もずいぶん溜飲が下がった状態で会議に臨むことになるし、会議の達人の顔を立てて、それほどの「大モメ」にはならないのである。

 この手の調整が重要だと思っていない人は、反対意見を出させないようにして、いきなり採決を強行したりしてしまう。それによってその場では「勝った」気持ちになるかもしれないが、反対派の怒りは収まらない。しこりが残るのは確実だ。やはり、「会議の達人」は必要なのだ。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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