その他、よく聞くのは、外国人旅行者が訪日中に病気やケガで入院し、そのとき「日本の看護師は、こんなことまでしてくれるのか」と驚き、感動したという話である。例えば、日本の看護師は入院患者のベッドメイキングもすれば、食事の配膳、風呂上がりには患者の体を拭いたりもする。こういうことは欧米の看護師はしない。欧米ばかりではなく、中国や韓国などアジアでも見られない。

 さらに、医師受診の回数も日本は突出して多い。OECDの統計によると、国民1人あたりの医師にかかる回数は加盟国の平均が6.6回。これに対して日本は12.9回。意外にも低いのが、スウェーデンであり、年間2.9回。このスウェーデンの約3回に対して、日本は約13回という、この数字の開きは、つまり「医師との距離」の違いでもある。

 1回1回の受診で「医療費が過剰に使われる恐れがある」という医療経済的な視点から見れば問題ではあるが、「医療が身近である」という国民側の安心という視点から見れば、これはかなり素晴らしいことと言えるだろう。要するに、「困ったらすぐに医者に行ける」という環境が整っていることになるからだ。

 英国やスウェーデンなど、家庭医制度が行き渡った国では、確かに制度上は素晴らしいと言えるが、身近とは言い難い。家庭医が「ゲートキーパー」とか「ゲートオープナー」といわれるように、家庭医を通さなければ、大病院など高度で専門的な医療機関を受診できないからだ。一方、日本の医療では、患者が行こうと思えば、直接、大病院の受診が可能なのである(最近は紹介状の持参を原則とするケースが増えているが…)。

薬の値段は
「ブラックボックス」

 一方、薬剤に関しては必ずしも「日本が良い」とは判断し難い。日本での薬剤の投与数は多く、厚生労働用の試算では500億円分あるという。確かに、高齢者が多量の薬を持って薬局から出ていく姿をよく見かける。

 値段についても、例えば、肺がん治療薬「オプジーボ」は、当初、100gあたり約73万円(現在は引き下げとなって32万5000円)という非常に高額の医薬品であった。これは、がん免疫療法薬というイノベーティブな薬であるから、こういう値がつけられた。

 薬価では、どのタイプの薬かによって計算方式が決まっている、オプジーボは原価を積み上げての値段であるというが、個々の医薬品について、どこがどう加算されてその値がついたかといった詳しいことはわからないし、なにより、原価にしては(処方量が増えるとしても)、2017年2月に薬価が半分になったことも不思議である。そういう意味では、薬価というのは「ブラックボックス」といえる。