中国企業の猛烈な海外進出には謙虚さが足りない資金力にものを言わせた中国企業の海外進出が目立っているが…

 2016年9月26日、人民日報の電子サイト、人民網日本語版が次のニュースを配信した。

「2015年、中国の対外直接投資額は過去最高の1456億7000万ドル(1ドルは約101.1円)に達し、13年連続のスピード成長を実現した。中国の対外直接投資額は米国に続き、今回初めて世界2位となった」

 数年前から猛烈な勢いで増えている中国の対外投資について、さらに、「対外直接投資額が初の世界2位」「対外投資額が初めて外資導入額を上回り、資本純輸出額の黒字が実現」「対外投資のうち証券投資の新規増加が初めて全体の6割を上回る」「民間企業による海外買収事例数および金額が、初めて国有企業のそれを上回った」など、2015年は多くの項目で「史上初」の記録を打ち立てた、と賛辞を惜しまなかった。

 確かに、中国はいまや、対外直接投資額の最高記録を更新し続け、純資本輸出国としての存在感をさらに高めている。

 中国の製造業の海外での大型企業買収も相次いでいる。例えば、昨年、世界最大のパソコンメーカーである中国のレノボはグーグル傘下のモトローラ・モビリティーを29億ドル(約3600億円)で買収し、2013年には河南省に本社を置くShuanghui(双匯)がアメリカの豚肉加工業者スミスフィールドフーズを買収して世界最大の豚肉加工業者となった。

ハイアールのCEOが
十数年前に指摘していたこと

 このニュースを読んでいるうちに、私は十数年前、今や中国の最大の家電メーカー・ハイアールを訪れ、CEOの張瑞敏氏を取材したときの光景を思い出した。

 当時、ハイアールがアメリカに進出した直後なので、中国メディアはハイアールを高く持ち上げていた。しかし、インタビューに応じた張氏は、至って冷静だった。日本では、私が最初にハイアールを紹介したこともあり、張氏は自らの考えを包み隠さずに打ち明けてくれた。のちに、その内容をこのコラムで取り上げたことがある(詳しくは2012年7月12日付「世界企業番付でも中国が躍進、中身ではいまだ日本に及ばず」をご参照ください)。