国際航空運送協会(IATA)事務総長兼CEO<br />ジョバンニ・ビジニャーニ<br />政策なき日本の航空行政<br />アジアの成長に乗り遅れるなPhoto by Kiyoshi Takimoto

──国際線を運航するエアラインや旅行代理店などの業界団体であるIATAの事務総長に就任して9年がたった。

 競争の激化が著しい時代だった。これほど価格がドラスチックに下がった業界はほとんどないはず。そのため、経営統合が進んだ。

 一方、テロ事件が相次いだことで、セキュリティ品質は格段に向上した。また、事故率も下がった。10年前と比べて、運航100万回当たりの機体全損事故は1.5から0.6に下がっている。つまり、品質が向上して価格が下がったわけで、顧客にとってはすばらしいことだと思う。

 こうした激動の時代にあって、IATAの果たした役割は大きかった。チケットのペーパーレス化やチェックインのセルフサービス化といった、コスト削減に寄与する対策を相次いで打ち出し、全世界で550億ドルの節約に成功した。この間、テロや世界経済の低迷、燃料費高騰などによって、世界の航空業界が出した損失は500億ドル。私は6月には退任予定だが、この成果には満足している。