中小企業の海外進出の味方、お役所仕事と真逆のJETRO

 JETRO(ジェトロ:Japan External Trade Organization:日本貿易振興機構)という組織を知っているだろうか。経済産業省所管の独立行政法人で、日本の貿易の振興をその主な目的とする。特にアジア地域に注力している。

 日本経済は人口減少等によって縮小する可能性がある。当然、経営は海外に向かっていくことになる。成長可能性が高く、地理的にも近いアジア地域への輸出や進出等の展開は、多くの日本企業にとって重要な経営方針だ。

 JETROの主たる目的には調査研究がある。筆者がさらに注目しているのは「中小企業の輸出や進出等の海外展開の支援」であり、また彼らの営業能力の高さである。よく政府系機関の仕事ぶりを揶揄して「お役所仕事」と言うが、彼らはそれとはまったく違い、常に顧客の立場で動いてくれる。

 中小企業の問題点は経営資源の不足だ。製品はあるが、海外進出したいといっても、何をどうすれは、どこにどう売ればよいのか分からない。これが現状ではないか。銀行等の金融機関も支援はするが、JETROのサービスはトータルで一歩踏み込んでいる。

 たとえば輸出の場合、まず進出したい国を決める。するとJETROは、その国の経済や当該業種を調べ、営業対象となる企業をリストアップしてくれる。そのリストには担当者や連絡先までも書いてあるのだ。

 新規取引は、どのような商売でも大変なものだ。たとえばインドネシアの場合、英語はなんとか通じるとしても、商習慣やビジネスマナーはやはり日本とは異なる。アジアなど発展途上国は企業になかなか連絡が取れないことも多い。公的機関からの連絡であってもFAXやE-Mailに返事しない。電話に出ないことも多い。そんな状況でも、JETROの現地職員が“実際に”その企業を訪問して、日本の中小企業のためにアポを取り付けてくれる。希望すれば商談に同席もしてくれる。

 これらのサービスは無料ではないが、異国の地で見知らぬ取引先と対峙する中小企業にとっては、非常に心強い。JETROの現地職員は日本への留学・勤務経験があり、日本語も堪能で、また(当たり前といえば当たり前ではあるが)日本好きの方々が多いのも助かる。