知的生産術の女王・勝間和代、カリスマαブロガー・小飼弾。熱狂的ファンの支持を集める2人が、ネット広告、グーグルの本質から教育のあり方、天才論に至るまで幅広いテーマについて、各々の持論を徹底的に語り合った。ダイヤモンド・オンラインでしか読めない豪華対談を6回にわたって連載する。

勝間和代(かつま かずよ)
勝間和代(かつま かずよ)
知的生産術、決算書の読み方からフレームワーク力の鍛え方まで、彼女の書く本がことごとくベストセラーになる「知的生産術の女王」。近著は『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力』 http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/ 

勝間 今、小飼さんのブログのページビューはどのくらいですか。

小飼 僕のところですか、月間160万。

勝間 ユニークで?(*ユニークユーザーのこと。単純なアクセス回数でなく、複数回アクセスしたユーザーを1人とカウントする)

小飼 ユニークでは100万くらいかな。

勝間 私のブログも同じくらいですね。私、昔アナリスト時代に「1分間あたりの広告費」というのをずいぶん研究したんですよ。日本人の行動時間のうち、ネットとテレビと新聞・雑誌をどれくらい見ているか、それに対して1分間あたりの広告費はいくらになるのか。

 すると、テレビとネットの広告費って、1分間当たりではじつはほとんど同じなんですよね。ただ、今のところはネットを見る時間のほうが短いから、広告の市場も小さい。

小飼弾(こがい だん)
小飼弾(こがい だん)                本職はプログラマー。専門書からマンガまで、彼が書評で紹介する本がことごとくベストセラーになる「カリスマαブロガー」。著書に『小飼弾のアルファギークに逢ってきた』があるhttp://blog.livedoor.jp/dankogai/

小飼 そのかわり、広告のインパクトは、テレビとは比べものにならないほど大きい。だって、テレビからモノは買えないじゃないですか。

 僕のブログでは、書評を読んだ人が130人いれば1人は買うんです(*アフィリエイトで直接アマゾンにリンクしている)。

勝間 私のところでは30人に1人くらいです。だから、ネットのほうが広告費は絶対に安い。

 というか、ある意味でディスカウントしすぎちゃっているんですね、ネット広告の値付けというのは。

小飼 じつは、ウェブの広告が安い理由は、技術者がちゃんと見積もりをしなかったことが大きい。

勝間 ああ、適当につけてしまった?

 それでオーバーチュアの10円とか、アドワーズの7円とかは決まったんですか。

小飼 そうそう。技術的には、この値段で売れば儲かっちゃうからというので決めちゃった。だから、広告主に対して、「あなたの商品はこれだけ売れますから、広告費はこれだけください」という議論は、技術を開発した人たちは何も考えていない。

勝間和代vs小飼弾 異色対談第1回<br />「ネット広告価値の“ディスカウント”」
対談の次回テーマは「グーグルをなめるな!」 

 まあ、大昔はテレビだって、たぶんそうだったと思いますけど。

 そういった意味で、ヤフーはウェブ広告の「パイオニア」であると同時に、この程度で落ち着いちゃっているという状況をつくった「戦犯」でもあるわけです。

 ヤフーは10年世の中を早く進めたけれど、逆に5年遅らせてもいる。だから、プラマイ5年という感じですかね。僕の印象では。

(次回掲載は7月2日)

企画構成/『週刊ダイヤモンド』副編集長 藤井一  撮影/住友一俊