連日の中国の反日デモを映像で見る限り、「デモが暴徒化している」というより、「暴徒がデモをしている」と思わざるを得ない。
破壊や略奪、放火、著しく品性に欠ける言葉や行動。映像を見て世界中の人たちは驚きとともに中国に対する幻滅を感じるに違いない。さらに、そんな暴挙を制御しないばかりか逆に容認しているようにも見える政府や党にも強い不信感を持つであろう。
中国で“国恥の日”と呼ばれる9月18日は満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日。加えて、1000隻の漁船が大挙して尖閣諸島に向かうと言う。今回の反日運動が頂点に達するはずの日であった。
だが、夕方の段階では予想された重大な事態には至っていない。
反日デモは100を越える都市で行われ、柳条湖事件が起きた瀋陽では破壊行為もあったものの今までの暴動を上回るような悪質なものではなかった。
また、尖閣への漁船の大量進出も今のところ確認されていない。接続水域を航行していた海洋巡視船のうち3隻が日本の領海に入っただけだと言われる。
中国政府はおそらく、わが国に対する威嚇の効果がないこと、国際世論の反発が強いことを知ってブレーキをかける方向に転じようとしているのだろう。
なぜ今回の反日デモに
“いかがわしさ”を感じるか
日本人は、他国の国旗や首脳の写真を踏みにじるようなことをしない。なぜならそんな蛮行は恥ずかしいことだと思うからだ。大震災が起きても集団略奪のようなことも決してしない。そんな悪行を抑えているというより、そもそも頭にさえ浮かばない人がほとんどだ。
中国でも1989年の天安門事件における学生や若者の行動は国際世論から圧倒的な支持を受けた。われわれもひたむきな彼らの勇気ある言動に最大級の敬意を払い、その成功を祈ったものだ。そこには今回のような聞くに耐えない声も、見るに耐えないプラカードもなかった。