先週、消費増税を支持する「論争!日本のアジェンダ」が読者の関心を集めたようだ。

 ただ、私が本欄に書いている「6・13 国会公聴会 私が述べた消費税増税反対の10大理由」(2012年6月14日付け)の観点からみると、先週の「アジェンダ」には、財政再建のためには「増税」が必要であると間違った認識がある。多くの読者は、「増税」すれば税収増というイメージを抱くと思うが、実は「税率の引き上げ」を意味することを知らない。

 税率を引き上げて税収が上がるかどうかは経済状況に依存する。それは商品単価を引き上げて売上増になるかどうかと同じだ。「増税」が税収増になるためにはデフレからの脱却が必要であるが、これが増税の前にやるべきことだ。筆者は、小泉・安倍政権時代、完全なデフレ脱却はできなかったが、増税なしでほぼ財政再建を達成している。こうした経験から、増税は政策経験のない人の下策であると思う。

どうして日本のマスコミの
報道は偏ってしまうのか

 しばしばIMFなども日本に増税を要請しているのも、増税が必要との論拠になっている。本当にそうだろうか。そのIMF・世界銀行年次総会が、10月9日~14日に東京で開催されたので、検証してみよう。

 なお、年次総会は、IMFと世銀の本部があるワシントンで2年続けて開催された後、3年目は他の加盟国で開催される。東京は1964年に開催されて以来2度目だ。2012年は日本がIMF・世銀に加盟して60年目の節目にあたる。

 総会には世界各国からの公式参加者が1万人、非公式の参加者を含めれば2万人とも言われる、世界最大規模の国際会議だ。総会では世界中の財務大臣・中央銀行総裁等が集うため、主要会議のほかに数多くの二国間会談やG7、G20等の会議が開かれる。