注目の厚生年金基金制度見直し
渡辺由美子課長を応援しよう!
11月2日、社会保障審議会の厚生年金制度に関する専門委員会(第1回)で、注目の「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)」が発表された。厚生年金基金制度の問題点については、本連載の拙稿も参照されたい
制度そのものの複雑さもあって、一読してすんなり頭に入るような文書ではないが、厚生年金基金制度を廃止するための具体案として厚労省が想定する手続きを初めて明らかにしたものとして、注目に値する(「概要」の説明が『日本経済新聞』11月3日朝刊の5面にある)。
この問題を本連載で取り上げた際にも書いたが、過去に先輩たちが築いた制度を否定し、官僚OBの職場にもなっている、厚生年金基金の制度を廃止するという提議を行なうことは、当該分野を担当する官僚個人にとって大変勇気のいることだ。
この問題の矢面に立っているのは、渡辺由美子氏(企業年金国民年金基金課長)だ。本件は、今後相当に難航することが予想される。内容も今後変化するだろうし、政治の状況を考えると決定に至るかどうかも疑わしい。
後述するように、筆者は今回の「試案」に複数の批判点を持っているが、「厚生年金基金制度に問題あり」として、そのための施策を講じようとして立ち上がった彼女の行動を高く評価するし、基本的には応援したい。
渡辺課長は(仕事なのだから当然だが)、今後多方面からの批判や妨害に晒されるはずだし、基金関係者の一部からは怨嗟の対象にさえなりかねない。もちろん、批判すべきは批判しなければならないが、政治家諸氏も年金問題を論ずる人々も、彼女がよりよい仕事を達成できるように応援するという気持ちを持って、この問題に関わるべきだ。