日本の人口は今、何人くらいか、君は知っているかな。2010年の国勢調査を見てみるとだいたい1億2806万人。でも、この人口はこれからどんどん減ってしまうんだって。

国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口について3つの見方で予測を立てている。このうち、「中位推計」――出生や死亡の見込みが中程度と仮定した場合の予測――を見てみると、2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人となっている。これは、第二次世界大戦直後の人口とほぼ同じ規模だ。

どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているんだろう?

――この連載では、高齢になった未来の私たちのため、そしてこれからの時代を担うことになる子どもたちのために、日本の将来をいろいろな角度から考察していきます。子どものいる読者の方もそうでない方も、ぜひ一緒に考えてみてください。

誰が子どもを虐待するのか

 1週間に1人――。

 虐待(ぎゃくたい)で命を落とす子どもは、今、年間約30~50人にのぼっている。

 心中も入れると、昨年度は98人の子どもが虐待で亡くなっている。昨年1年間に虐待で児童相談所に通告された子どもは、1万6387人だ。

 とてもかなしい数字だけれど、ちょっとここで考えてみよう。子どもを虐待した挙句、殺してしまうのは家族のうち誰だと思う?

1.お父さん
2.継父
3.継母
4.お母さん
5.おじいさん、おばあさん

 答えは「4」。その子を産んだ実のお母さんだ。

 厚生労働省の調べによると、その割合はおよそ60%。次いでお父さん、その次がお母さんの交際相手(継父)の順になっている。なお、死んだ子どもたちのうち、一番多かったのは0歳児。半分近くにおよんでいる。3歳以下の乳幼児の割合は80%以上だ。

 なぜ、母親たちは自分の手で我が子をあやめてしまうのだろうか。今日は、少子化が進む裏で社会問題化している、「子どもの虐待」について考えてみよう。