スターバックスが
火をつけた租税回避問題
英国キャメロン首相は、スターバックス英国法人(以下、スタバ社)の英国政府に支払う法人税額が少ないことに驚いた。それは98年に事業を開始して以来、30億ポンド(1ポンド150円で4500億円)の売り上げがあったにもかかわらず、法人税の納税額はわずかに860万ポンド(12億9000万円)、利益を計上した年はわずか一年間、という驚くべき実態であった。
一般大衆もこれには怒りをぶつけて、不買運動や「フェアな分担をすべきだ」とプラカードを掲げたデモ騒ぎにつながっている。
このような中で、英国議会もこれを取り上げ、スタバ社や、同様な租税回避をしているアマゾン、グーグルの幹部を議会に呼んで追求をした。英国では、多国籍企業の租税回避が、大きな社会問題となっているのである。
租税回避をもたらしている要因は、米国をはじめとする世界の一流多国籍企業の行う「タックス・プラニング」である。その仕組みは、決して複雑なものではない。
スタバが実行した
タックス・プランニングの中身
スターバックス社のプラニングはこうである。
まず、スターバックス英国法人は、ローストしたコーヒー豆をスイスの関連法人から仕入れている。その価格をいろいろな理由をつけて、市場価格より高く購入すれば、英国法人の利益は圧縮され、スイス法人にその分だけシフトすることになる。
次に、英国法人は、オランダの関連法人に、スターバックスの使用する商標や特許、さらには接客マニアルなどのロイヤルティーを払っている。これは相場があるわけではないので、多めに払えば英国法人の所得は圧縮でき、オランダにシフトされることになる。