「アベノミクス」の影響で、にわかに景気が良くなってまいりました。株価も昨年末から3割以上、上昇中です。4月1日付のロイター通信によると、「日銀が1日発表した3月全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の(企業の景況感を表す)業況判断DIがマイナス8となり、3四半期ぶりに改善した。先行きはマイナス1で、改善が見込まれている。非製造業はプラス6で、3四半期ぶりに改善した。先行きはプラス9で、改善が見込まれている」とのこと。製造業、非製造業ともに、景気回復の兆しが見え始めています。
景気の良い状態はいつまでも続かない!
今こそあえてキャリアの見直しを
では、気になる転職採用状況はこれからどうなるのでしょうか? 実は今、すでにとても良い状況にあるといえます。
一般論として、雇用は景況感に遅れて反応する「遅行指標」といわれます。景気と採用は、ある程度、連動するわけです。経営者が「景気が良い」と思えば、さらに良い人材を採用し、事業を拡大させようとします。一方、「景気が悪い」と思えば一旦採用を止めて様子をみようとします。多くの経営者は、ライバル企業を睨みつつ採用方針を決めます。過去でいえば、9.11同時多発テロ事件後の2002年、そしてリーマンショック後の2009年は、採用数にも大変な落ち込みがありました。
一方、2010年、11年、12年は、採用が好調だったわけですが、今後、景気が落ち込めば、採用数も激減するものと思われます。また、景気が良いといっても、採用水準はほぼ下がっておりません。体感値にはなりますが、リーマンショック以降、経営者が二度と大型リストラをしたくないという心境もあるのか、採用水準は一定の質を担保しています。
現在は、転職したとしても給料が大幅に上がることもそうはなく、現職の水準を維持するだけになりそうです。ですから、将来を見据えて、一旦は給料が大幅にダウンしてでも転職するという方が実際には多いようです。
この好調な採用景気がどこまで続くのかは読めないところですが、永遠に続くことは過去の歴史からみても考えられません。景気が良いと、仕事が忙しくなり、自分のことを考える時間がなくなります。ただ、こんなときだからこそ、一度キャリアを見直してみることも大事なことです。人と同じ考え方や行動をしていると、チャンスを逃してしまうことがしばしばです。景気が悪くなれば、業績も悪くなり、給料や賞与が下がり、転職したくなるというのが世の常です。逆張りこそが、大切な考え方なのです。