『70年代アナログ家電カタログ』(松崎順一著、青幻舎)を書店でたまたま手にしたところ、これが面白かった。
1960~80年代の日本製家電のカタログを集めた本である。当時、オーディオ、ラジカセ、BCL、アマチュア無線等に熱中した人ならば、「あー、これ覚えてる!」と感涙にむせぶに違いない。
しかし、こうして多種多様な製品のカタログを一度に眺めていると、当時が日本の家電産業の黄金期だったことが改めて実感される。アイデアがほとばしっていて、百花繚乱状態なのだ。海外の若い消費者が憧れた商品も多々あった。そういった時代がまた来てほしいものである。
円安は追い風にはなるが、本質的な解決策ではない。2013年版ジェトロ世界貿易報告によると、昨年9月から今年3月にかけて円安で輸出金額が最も伸びた商品は、鉄・金・プラスチックのくずを中心とする素材だった。円安による増加額の比率は54%だ。中間財は32%、資本財は28%だったが、消費財は16%にとどまっていた。
消費財の場合、海外消費者のニーズをうまく捉えることができなければ、円安で価格面の競争力が少々向上しても販売は限定的だ。デジタル家電のように消費者の嗜好が目まぐるしく変わる商品ではなおさらである。日本メーカーが得意としてきたコンパクトデジカメは、スマホのカメラの影響で世界的に売り上げが急減している。中国での今年前半の販売台数は前年比54%減、特に1500~1700元クラスでは71%減だ。