現在の国際商品市況は、品目ごとに異なるリスク要因で相場が動いている。日々相場の方向性が変わる品目が多く、全体としては明確なトレンドが見えにくい。
金は、米国の金融政策に敏感である。9月18日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)の量的緩和縮小(テーパリング)先送りを受けて大幅に上昇した。縮小開始時期に関する市場予測が大幅に後ずれしたためだ。しかし、20日にセントルイス連邦銀行総裁が次回10月30日のFOMCでのテーパリング開始の可能性もあると発言したことを受けて売り戻された。
原油は、中東情勢に左右される状況が続いた。8月下旬には米国による対シリア軍事介入が近いとの観測が強まったが、その後、外交的解決の可能性が高まった。9月27日には米国とイランの首脳による電話会談も実現した。
銅やアルミニウムは、米国や中国の経済政策や景気動向に対する思惑で変動している。足元では、中国景気に持ち直しの動きが見られるが、米国の債務上限問題による景気減速懸念などが上値を抑える要因となっている。
各商品が個別の要因によって変動して、全体としてはトレンドがないという状況は2013年を通じて続いている。この結果、米国を中心に株価は高値圏にあるのに対して、国際商品市況は全体として横ばいでの推移が続いている。
株式と国際商品には、低金利が押し上げ要因になる、長期保有するとインフレヘッジになるという共通の性格がある。しかし、過去の値動きを見ると、株式市況と国際商品市況の連動性はそれほど高くない。原油や金属など燃料や原材料の値上がりは企業収益を抑制する要因になること、原油高などによるインフレ懸念を受けた長期金利が株価の頭を抑えることなどがその理由である。