中国が低減した石油依存、米国の影響力排除目指すPhoto;Bloomberg/gettyimages

【北京】中国は数十年にわたり世界の石油需要をけん引してきたが、石油依存の低減を目指す同国の取り組みは節目を迎えつつある。国内消費量は2027年までにピークに達し、その後は減少に転じるとみられている。

 中国当局は長年、米国とその友好国が石油供給を制限すれば中国経済を窮地に追い込めることを 懸念してきた 。そのため輸入依存度を下げようと多額の資金を投じ、再び国内生産を増やして短期間で世界最大の電気自動車(EV)産業を築き上げた。

「エネルギーのご飯茶わんは自分の手で持たなければならない」と中国の習近平国家主席は述べている。

 中国各地で、独フォルクスワーゲン(VW)や韓国・現代自動車のガソリン車のタクシーに代わって、 国内企業が設計・生産したEV が目につくようになった。24年に国内で販売された乗用車の半数近くがEVかプラグインハイブリッド車で、20年の6%から大幅に増えた。

 環境の過酷さから「死の海」と呼ばれる中国の辺境では、より多くの原油を採掘するため、労働者がエベレストの高さに匹敵する深さの穴を掘っている。国有企業の 中国石油天然気(ペトロチャイナ) は24年に380億ドル(約5兆5700億円)を設備投資に充てた。これは米石油大手 エクソンモービル と シェブロン の設備投資の合計にほぼ匹敵する。

 中国の24年の石油生産量は日量約430万バレルと、18年比で13%増加。原油輸入量は24年に2%近く減少した。25年は一部の国内企業が在庫を積み増したため、若干上向いた。

 中国の国有石油大手と国際エネルギー機関(IEA)はいずれも、同国の石油需要が2年以内にピークを迎える可能性が高いと予測。ガソリンとディーゼル油の需要はすでに頭打ちとなっている。