住宅被害が周辺で集中した土石流が集中した「大金沢」の様子
写真:東京都提供

16日、東日本をかすめるように北上していった台風26号に伴い発生した集中豪雨で、伊豆大島の都が指定する土砂災害危険個所内で大規模な土石流が発生した。同日昼までに大島元町アメダスで観測された24時間雨量は、これまでの記録を大きく上回り、824ミリに達した。死者・行方不明者が50人超に達するまでの甚大な被害をもたらした、その根本的な原因はどこにあるのか。気象予報士らの見解から検証する。

「災害級の雨だ…」

 10月16日早朝、ラジオ出演のために気象観測データを見た気象解説者の増田雅昭さん(株式会社ウェザーマップ)は、伊豆大島の実況値を見て、背筋が凍った。

 数年に一度しか起こらないような猛烈な雨が観測・解析された場合に出される観測記録「記録的短時間大雨情報」が、大島にいくつも出ていた。


記録的短時間大雨情報(2:32発表)
 大島元町 101ミリ

記録的短時間大雨情報(3:47発表)
 大島元町 118ミリ
 大島町付近 約120ミリ

記録的短時間大雨情報(4:50発表)
 大島町付近 約120ミリ
 大島元町  108ミリ


 3日前の13日頃から、台風の進路予想図が更新される度に「何かしらの災害が起こるだろうな」と確信のような予感はあった。関東最接近時は、中心気圧が960hPaくらいと、かなり発達したまま北上する予想だった。台風の進路や勢力の予想が安定した傾向にあり、多少進路がずれたとしても、首都圏への影響は大きくなるだろうとみていた。

「メディアだとどうしても広く浅く俯瞰した視線で見ることになってしまう。でも、災害ってたいてい、ピンポイントで起こるものなんですよね。島なら島というポイントからも見て、現場で判断できることも必要です。そのスキルを、役場の人も持っているのでしょうか……」