あらゆる端末がインターネットにつながれ、その機能が融合するなかで、半導体の世界市場では、製品カテゴリーを超えた寡占化が進行している。開発から製造まで、巨大なリソースの投下が必須であるこの産業では、「トップ3入り」が勝ち残りの絶対条件となる。

 寡占化を導くのは標準プラットフォームであり、それを規定するのはソフトウエアだ。インテルをはじめとする強豪が、新しい戦いに挑んでいる。残念ながら、そこに日本勢の姿はない。

 大手各社は過当競争を凌げずDRAMを手放し、代わりにシステムLSI(大規模集積回路)を主力製品に据えたものの、機器メーカーからの受注生産では、工場の稼働率を上げられず、新しいビジネスモデルも描けぬまま、経営統合を繰り返すのみだ。それはただの問題先送りではないか。

 なぜ、かつてシェア上位を占めたプレーヤーが“蚊帳の外”なのか。経済産業省も買収ファンドもこぞって“日の丸工場”設立によるファブレス(設計専業)への転身を、日本半導体のリバイバルプランとして描く。それは本当に正しく機能するのだろうか。

 Part 1では、世界市場を舞台にした競争の現実を明らかにし、続くPart 2では日本半導体が抱える構造問題に踏み込む。(取材・文/『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)

インテル“アウトサイド”

 巨人同士が、手を結んだ。6月23日、半導体最大手の米インテルと携帯電話最大手のフィンランドのノキアが提携を発表、「スマートフォン、ノートPC、ネットブック(ミニノートPC)の先にある新しいモバイルプラットフォームを策定する」と宣言した。