新年を迎えて「今年こそは人生を変えたい」「夢を実現したい」と思う人は多い。しかし、一体どれだけの人がその実現に向け努力しているだろうか。現役の経営者で陽明学者の加地太祐氏は、「成功するためには、何より実践が大事」と説く。本連載では、そんな加地氏の初の著書成功する人の考え方』(ダイヤモンド社より1月16日に発売予定)の内容をベースに、これまでの人生を変えて、成功をたぐり寄せるためのポイントをお伝えしていく。一生懸命やってもなかなか成果が上がらない、認めてもらえないという人は、一度、上司の期待値について考えてみよう。

相手の期待値を考えているか?

 どんなことでも相手の期待値を超える働きができれば、成功する人としてのチケットを手に入れたのも同然だ。

 それはお客様や上司だけではなく、家族や子ども達に対しても同様で、常に期待値を意識し、期待を越えることが重要だ。

 そんな考え方を、僕らは持つ必要がある。

 世間を見渡してみると、一生懸命努力しているのになぜか成果が上がらないという人も沢山いるが、僕の友人もそのひとりだった。

 彼は広告代理店に就職し、勤務態度も真面目だったが、ある悩みを抱えていた。

 それは「いつも上司に叱られる」という悩みだった。

 彼は相談に来た際に、こんなことを言っていた。

「どれだけ一生懸命やっても仕事の成果が上がらなくて叱られてしまいます。僕は上司に嫌われているのでしょうか?」

 詳しく聞いてみると、彼は上司から営業先へのプレゼン資料の作成を頼まれたようだった。

「僕は一生懸命努力して資料を提出したんです。でも、上司は全然喜んでくれなかった」

 彼の仕事に対する熱意は確かに本物だった。しかし、ある視点が欠如していることに彼は気がつかなかった。

 それは「上司が期待する値」だった。

 彼の努力は本当だ。

 しかし、上司が望む期待値を一切考えず、自分の物差しで仕事に取り組んでいたのだ。

期待値は未来に大きく影響する

 例えば、キミが大好きな彼女とデートするとしよう。

 彼女は、必ずキミに何かを期待しているはずだ。

「どんなレストランに連れて行ってくれるのかな?」
「どんな話で盛り上げてくれるのかしら?」

 彼女の心の中は、キミに対する期待で一杯なのだ。

 もちろん、高価なプレゼントをしないさいと言っているのではない。

 大切なことは「彼女の期待を越える」ということなのだ。

 キミがどれだけ努力しても彼女の期待を下回ればガッカリされるし、上回れば2人はとても幸せな時間を過ごせるだろう。

 期待値とは、それほど未来に影響を与えるのだ。

この世界はすべて期待値で動いている

 今回の話は、僕らに違う側面でも学びを与えてくれる。

 それは上司の叱り方である。

 どんな人間でも部下のつくるプレゼン内容が自分の期待以下だった場合、叱りたくもなるだろう。

 しかし、期待値の説明を一切せずに叱ってはいけない。

 成功する上司は部下を叱責するとき、必ず自分の期待値がどうであったかを伝える。

 なぜなら期待値を理解してない部下は、努力したのに叱られたと思うからだ。

僕らの世界は、すべて期待値によって動いていると言っても過言ではない。

 恋愛や仕事、お客様の心に至るまで、すべて期待値によって形成されている。

成功する人とは、相手の期待値を理解し、自分の期待値を相手に伝えられる人のことだ。

加地太祐(かじ・たいすけ)
1976年大阪生まれ。株式会社aim代表取締役。
阪南大学高等学校中退後、溶接工に。その後、サラリーマンになり英会話スクールに通うが、1年後の2004年に通っていた英会話スクールが倒産。当時の従業員に「給料を数ヵ月もらわぬままオーナーが失踪したので助けてください!」と生徒なのに相談される。月商18万円で家賃支払いが23万円と大赤字なのにもかかわらず、「可哀想だから」と400万円を借金して援助し、サラリーマンを続けながら思いがけずオーナー経営者になる。
しかし、3ヶ月で資金がなくなり、助けてと言った従業員も退職。その後、英会話スクールの経営を実弟にまかせるが、1年後に病死する。この人生のどん底のときに安定したサラリーマンを辞め、給料の出ない英会話スクール経営1本に絞る。その後、NOVAが倒産し英会話教師だった外国人失業者があふれた。彼らを黙って見過ごせないと、生徒が増えたわけでもないのに日払いで外国人を雇う。この行動が新聞に紹介され、それがもとで生徒数が飛躍的に増え、以後、順調に業績を伸ばす。
2015年2月6日、交通事故に合い5日間意識不明に。6日目に目覚めたとき、「このまま死んだら僕はこの世界に何も残していないことになる」と愕然とする。
それがきっかけで、スタッフや愛する娘たちに残せるのは「言葉しかないのだ」と悟り「成功する人の考え方」の連載をスタート。純粋に言葉の力を試すために 名前をふせたままスタートするも幸運にも支持を得て開始8ヶ月で3万いいね!を突破。月間リーチ数250万人の人気ウェブサイトに成長する。年間1000人以上の経営者と対話し、会社経営を行う傍ら、1人でも多くの成功者を世に出したいと、日夜、記事の執筆に精力を注いでいる。山田方谷を学ぶ実践塾「方谷塾」塾頭、陽明学者。
所属団体 
・盛和塾<大阪> 世話人。稲盛和夫の経営者塾世話人
・EO Osaka<Entrepreneur Organization> 理事。アメリカに母体を持つ経営者団体。年商100万ドル以上の経営者が集まる団体
成功する人の考え方HP http://ekusia.com/
フェイスブックページ  https://www.facebook.com/seikousuru/
 

※次回は、1月8日(金)に掲載します。