相手との距離を縮めていくためには、相手目線で考えることが大切です。話をする際にも、相手が興味・関心を持つことを話題にするのはもちろん、その人の気持ちや理解度を踏まえながら話すと、より気持ちは伝わりやすくなります。

つきあいベタに欠けている、相手を読む力

 なぜか好かれる人というのは、ポイントを外しません。

 自分の言いたいことを相手目線で考えてから言葉にしてみたり、相手が聞いて欲しそうなことを察知して質問したりします。

 だからこそ「あの人は、よくわかっている」と好感度や信頼感も高まり、結果として相手が自分から動いてくれやすくなります。

 相手とのコミュニケーションを深めていく意味でも、相手目線は大切です。

 相手が興味・関心を持つことを話すのはもちろん、その人の気持ちや理解度を踏まえながら話すと、より気持ちは伝わりやすくなります。

 相手が自分とは異質な人間であればあるほど、「相手目線で考える」ことは大事になってきます。伝えているつもりが誤解されていたり、逆鱗に触れてトラブルになってしまうことがあるのも、そこに理由があるといえます。

相手をよく観察して感情を探り、最適なコミュニケーションをとる

 一方「つきあいベタ」と呼ばれる人は、その逆です。

 自分の言いたいことだけを話して、それがうまくいかないと「人間関係は難しい」「自分は人づきあいが苦手だ」と勝手に思い込んでしまうのです。

 こうした人は、自分のほうから相手を遠ざける行動を取っていることが多いのですが、そこに気づかないでいるのですね。つまり、相手の顔を見ていないのです。独り相撲で自分を苦しめているのですから、残念な話です。

 当たり前の話ですが、コミュニケーションとは相手があって生まれるもの。話をするのでも、相手の反応を見て進めていかなければ、うまくは伝わりません。

 怪訝そうにしていれば「説明がわかりにくかっただろうか」と考えて、もう一度別の方向から説明してみる。楽しそうなら、同じような話題を続けてみる。

 まずは外見にあらわれる反応をもとに相手の気持ちをさぐってみる。

 そのうえで、より伝わるコミュニケーション方法を見つけることが、相手目線で考えるということなのです。

渋谷昌三(しぶや・しょうぞう) 1946年、神奈川県生まれ。学習院大学文学部卒業、東京都立大学大学院博士課程修了。 心理学専攻、文学博士。山梨医科大学教授を経て、現在、目白大学大学院心理学研究科及び社会情報学科教授。非言語コミュニケーションを基礎とした「空間行動学」という新しい研究領域を開拓し、その研究成果をもとに、現代人に潜む深層心理を平易にユーモラスに解説した書籍で多くのファンを持つ。主な著書に『外見だけで人を判断する技術』(PHP研究所)、『手にとるように心理学がわかる本』(かんき出版)、『好感度200%UPの話し方』(ぶんか社)など。