【第47回】 2010年02月10日
DJ
話していて気持ちのいい人と、なぜか気分が悪くなる人がいる。それは、単に滑舌がいいとか悪いとかの問題ではないように思える。
美人はやはり話していて気持ちがいい。何が気持いいか。それはテンポである。
人はそれぞれ、話すスピードがある。それは当然だ。ただ、会話するときはそのスピードを場に合わせて、ある程度コントロールする。そして、その場のスピードを徐々に決めていく。
異なる複数のスピードをうまくつなげて、心地いいスピードを保ち続ける。音楽でそれをやっているDJに似ている。もちろん、DJのようにきっちり合わせる必要はないのだが、相手の話を聞きながら、会話の「つなぎ部分」で適度なスピードに持っていく。その後、自分の話しやすいスピードに調整する。意識的にではなく、自然とそれができる。
これにはコツがあるようだ。テンポづくりがうまい人は、しっかり聞く人だ。相手の話を真剣に聞く。そうしていると適度なテンポがわかってくる。聞きながら、一緒になって相手の伝えたいことを考えるからである。その時に相手のテンポも伝わってくるのだ。今流れている曲のテンポを把握し、繋げ方をつくるDJ。いいDJは聴く能力が高い。
それがわかれば、相手が話した後、どれくらいの「間」を置いて自分が話し始めればいいのかもわかってくる。テンポ名人DJは、この「間」の置き方がうまい。だから話していて自然と気持ちがよくなる。
相手の話し方が気になってしかたない時というのは、たいてい速度の組み合わせが悪いのだ。
それから、美人は相手が話している合間に、「うん」とか「そう」とかの合いの手を上手に入れる。効果音を上手に使うDJ。
ところが、話の腰を折る人がいる。まだ話しているのになぜ話し始めているのか。大事なことは今からなのに。こういう人は聞きかたが下手なのだろう。相手の話の真意を知る前に自分の話をしようとする。そうするとテンポ調整もなくなる。
まだ曲の途中なのに乱暴にカットインしてくる別の曲があり、しかたなく元の曲をフェイドアウトする感じ。そうなるとそれぞれの曲を目立たせるために、音が自然と大きくなる。美人が少ない場の会話は、いやに大声であることが多い。名DJが少ないからだろう。当然、その場から「美人のもと」が消えていく。美人が多い場は、会話が弾んでいるのに不快な大声はない。場のボリュームでチェックしよう。そして「美人のもと」をつくりやすい音のコントロールをしていこう。
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著者プロフィール
- 西村ヤスロウ
(広告プランナー)
1962年生まれ。株式会社博報堂プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。
この連載について
『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。
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