【第31回】 2008年06月13日
中堅社員を追い詰める「職場のクレーマー」たち
~ 専門家は語る~精神科医・名越康文氏【後編】~
JTの缶コーヒー「Roots」の駅貼りポスター「ルーツ飲んでゴー!」が話題になっている。
「部下を起こしたら逆切れされた。」
「話し合い、というか取り調べ。」
「部下のミスは、自分のミス。自分のミスは、自分のミス。」
上記のようなコピーに思わず噴き出してしまつつも、「ウンウン、わかる」とうなずいてしまった人も多いだろう。モデルの坂口憲二の「トホホ」な表情とあいまって、中堅ビジネスマンの悲哀が読み手の心にしみるのだ。
無理難題ばかり押し付けるくせに、いざというときは責任放棄する上司。文句言い放題の顧客。注意すると言い返してくる部下。今の世の中、どっちを向いてもクレーマーばかりだ。
「週刊ダイヤモンド」では2008年1月26日号で「恐怖のクレーマー」を第一特集に掲げた。保護者からのクレームで自殺に追い込まれる教師や、医療過誤を叫ぶ患者に怯える医師など、さまざまなケースを取材している。学校や病院だけではない。一般企業の職場でも、同じような問題が起きている。
クレーマーのターゲットには誰もがなりうるが、とくにしわよせをくらっているのが、30代前後の中堅層だろう。企業の人口構成は逆ピラミッド型になっている。頭の上には、40歳以上の大量採用時代に入社した上司たちが大勢いるため、彼らにのしかかる重圧は大きい。就職氷河期が続いたせいで部下は少なく、いるのは世代間ギャップのある新人たちだ。つまり、上からも下からも、クレームにさらされやすい立場なのである。
「Roots」のCMやポスターのように自虐ネタになるうちはまだいいが、クレーマーたちとの軋轢が許容量を越すと、心のバランスを失いかねない。
「しかも、今の30代は人当たりがよく、自分を主張しすぎない人が多い。ただ、それがやや行き過ぎている気がする。『過剰適応世代』といえるかもしれません」と精神科医の名越康文氏は指摘する。
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著者プロフィール
- 西川敦子
(フリーライター)
1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。
この連載について
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