為替市場の代表的な大相場の1つに、プラザ合意を受けた米ドル大暴落がありました。暴落が始まったのは1985年9月のことで、米レーガン政権の再選1年目のことでした。

 このプラザ大相場のように、通貨政策の転換によって、米国の新政権1年目に大相場が始まることが、これまでも多くありました。さて、オバマ政権の1年目は、通貨政策転換の「誘惑」を排除し続けることができるのでしょうか?

クリントン政権1年目は
125円→80円の「超円高」に!

 近年の米新政権1年目の米ドル/円年間変動幅を調べてみると、1989年(ブッシュ父)が27.5円、1993年(クリントン)が25.5円、2001年(ブッシュ子)が18.5円となっています。

 過去20年間の米ドル/円年間値幅平均は20円弱で、1989年、1993年をはじめとして、それを大きく上回っていたケースは多く、2001年の場合も、その前後に比べると大相場だったと思います。

米ドル/円の変動幅

 新政権1年目が大相場になった理由としては、通貨政策転換の影響が挙げられると思います。

 代表例は、1993年のクリントン政権でしょう。クリントン政権は、東西冷戦崩壊を受けて、経済冷戦へ決着をつけるべく、対外不均衡是正で円高容認政策に動きました。

 米ドル/円はこれを受けて、クリントン政権発足時に125円程度で推移していましたが、1995年には100円を突破する「超円高」となり、ついには80円まで米ドル安/円高が進んだのです。その中で、新政権1年目の1993年も相応の大相場になったわけです。

 2001年のブッシュ(子)政権1年目の場合は、米ドル高/円安の動きになり、「9・11」、つまり「米同時多発テロ事件」を経て、翌2002年3月には135円まで米ドル高/円安が進みました。

 この米ドル一段高への「ブッシュ大相場」の始まりは、意外かもしれませんが、ブッシュ(子)政権が米ドル高誘導政策を採用したためです。

 少なからず為替の知識がある人ほど、これを意外に受け止めるかもしれません。ブッシュ(子)政権といえば、市場実勢追認主義で、「為替相場は市場が決める」として、米ドル安を放置した印象が強いのかもしれません。

 しかし、ブッシュ(子)政権は、発足当初はちょっと違っていました。政権スタート時には、経済政策のキーマンとされた、リンゼーという大統領顧問がいたのです。

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