「最近、オツムがやけに寂しくなってきて」とお嘆きの諸兄には、ちょっといいお話――。
トウガラシの辛味成分であるカプサイシンがダイエットにいいということは、今ではたいていの方がご存じのことと思います。では、そのカプサイシンに養毛・育毛効果もあることについてはどうでしょう。こちらは初耳という方も多いのではないでしょうか。
かいつまんで、そのメカニズムを紹介すると――。
毛髪の成長にはインスリン様成長因子というアミノ酸からなる物質が不可欠です。カプサイシンは知覚神経を刺激することで、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)という物質の放出をうながしますが、このCGRPが毛根におけるインスリン様成長因子の産生を盛んにすることが明らかになってきたのです。
研究を進めているのは名古屋市立大学の岡嶋研二教授らのグループ。報告によれば、まず動物実験でカプサイシンの摂取によって毛根にインスリン様成長因子を増やすことを確認。さらに実際に薄毛で悩んでいる被験者(48名)にカプサイシンと大豆イソフラボンを毎日継続摂取してもらったところ、約80%の人に明らかな育毛・発毛効果が認められたそうです。
ところで、大豆イソフラボンを合わせて摂取するのには、もちろん重要な意味があります。
知覚神経を刺激しているだけだと、やがて神経内のCGRPは枯渇してきます。そうなると、いくらカプサイシンを摂取しても肝腎のインスリン様成長因子は増えません。
実は、このCGRPを増やす働きが女性ホルモンにあるとか。そこで女性ホルモンと似た作用を発揮することで知られる大豆イソフラボンを代わりに、というわけです。
専用のサプリメントも出ていますが、通常の食品からでも効果は期待できるとのこと。目安は1日に一味トウガラシを小さじ2杯。イソフラボンのほうは豆腐なら半丁。