腸には、消化・吸収・排泄・免疫という4つの役割がある。なかでも、体内に入った毒素を“便”として排出する機能は、健康を保つために必要なはたらきだという。腸疾患治療の第一人者・松生恒夫氏が腸の役割や仕組みを解説し、腸内環境を改善するための注意点を伝授する。※本稿は、松生恒夫氏『腸にいい習慣ベスト100』(総合法令出版)の一部を抜粋・編集したものです。
小腸、大腸、結腸……
役割を知るのが腸活の第一歩
腸を健康に保つためには、腸自体をよく知る必要があります。腸は小腸と大腸で構成され、小腸と大腸には異なる役割があります。
下のイラストのように、長さ1.5~2mの大腸が、長さ5~7mの小腸を取り囲むように配置されています。小腸は十二指腸・空腸・回腸に分かれ、大腸は結腸・直腸に分かれています。さらに結腸は盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸の5つに分かれます。
腸の主な役割は4つあります。(1)消化、(2)吸収、(3)排泄、(4)免疫、です。胃液で消化されてかゆ状になった食べ物は、小腸で胆汁や膵液などの消化液によってさらに消化、分解され、吸収されます。そうして食物残渣の水分の約90%も小腸で吸収されます。
小腸から大腸に運ばれた残りカス(食物残渣)は、水分を多少含んでいます。上行結腸・横行結腸・下行結腸へと進む間で水分は体内に吸収され、固形の便になり、排便を待ちます。
また、小腸には全身の約60%のリンパ球が存在し、体の免疫機能の中心となっています。