
ここ10年、菓子売り場での一番の変化は、グミコーナーの拡大とガム売り場の縮小ではないか。噛むタイプの菓子はもはや「グミ一強」と言っても過言ではない勢いで、ガムは味を楽しむ目的からもはや遠ざかっているようにさえ感じられる。現状を再確認するとともに、ガム再起の可能性も探ってみたい。(フリーライター 武藤弘樹)
広がるグミ売り場
コロナ禍にガム市場を奪う
世には実にさまざまなところで乱世が起きている。中でもグミとガムを巡る乱世は、身近にある商品である上に、その趨勢もダイナミックで見ごたえがある。
最近はガムが下火になってきた代わりにグミが躍進している。これは生活の中でも実感できるし、ここまではよく言われていることなのだが、その裏で実はまだ復権を狙うガムの動きがあるなどして、大勢は決したように見えて依然なかなか目が離せそうにない熱が、グミガム界隈には渦巻いている。
両者の成り行きは市場規模を見ると顕著で、2015年まで1000億円を超えていたガムは徐々に下がってここ数年で500億円超となった。一方グミは、2015年に500億円ほどのところから少しずつしかし堅調に伸びて、コロナ禍の2020~2021年に600億円付近でガムを抜くと飛躍的に抜け出して、2024年は1138億円となった。
コンビニやスーパーに行くとグミの売り場がやけに大きくなっているのを発見して驚いたことがある人は多いのではあるまいか。コンビニやドラッグストアの販売側でもグミの売り場拡大はよく意識されているし、スーパーマーケットチェーン「ライフ」の一部店舗では最大190種類のグミを取り扱っているらしい。