5万円前後の低価格で、従来のノートパソコン(PC)より小型・軽量のミニノートPCが飛ぶように売れている。昨年10月、台湾PCメーカーのASUS(アスース)が300ドルを切る格安PCを発売し、クリスマス商戦で大ヒットすると、競合他社も続々とこの市場に参入。いまや、大ブームの様相を呈しているのだ。

 「ASUSのEeePC、ただいま緊急入荷しました。本体価格は5万9800円、残りわずか5台です。今ならお持ち帰りいただけます」――。

 7月末、都内のある大手家電量販店。同月上旬の発売後ずっと品切れ状態だったASUSの新製品が入荷したとあって、店頭はにわかに活気づいた。「7月上旬の初回出荷分の2万台は、わずか3日で売り切れた」(シンシア・タン・ASUSジャパンマーケティングマネージャー)という盛況ぶりだ。

先行するASUSを大手が追撃 ミニノートPC主要製品比較

 ASUSを追撃すべく、6月下旬に5万9850円の低価格ミニノートPCを発売した、PC世界シェア首位の米ヒューレット・パッカード(HP)も、初回出荷分の数万台を即日完売。「予測を上回る引き合いに供給が追いつかない」(菊地友仁・日本HPモバイル&コンシューマビジネス本部プロダクトマネージャ)状態が続いている。

 7月下旬に1ヵ月ぶりに販売を再開したものの、またもや即日完売となり、依然として入手が困難となっている。

 ノートPCではHPに次いで世界シェア第2位の台湾エイサーは、6月からアジアや北米、欧州で低価格ミニノートPCを投入。日本でも8月中旬に発売する。販売予約はすでに2500台を超している模様だ。当初、2008年の全世界出荷台数は500万台を見込んでいたが、7月末時点で700万台に上方修正、「まだまだ増える可能性がある」(瀬戸和信・日本エイサー事業推進部マネージャー)。

 PC世界シェア第2位の米デルも、「多様化するニーズに合わせて他社より数多くのラインナップを投入する」(藤井秀紀・デルジャパンコンシューマ事業本部マーケティング部長)予定で、年内にも参入する。

 海外勢だけではない。富士通も、この秋からシンガポールや香港で5万~6万円のミニノートPCを投入する。ソニーも市場参入を表明している。

 これらメジャーブランドのほかにも、台湾のODM(相手先ブランド名で販売される製品の設計製造)メーカーが続々と自社ブランドを冠した製品を発売しており、参入メーカーは20社に達する勢いだ。まさに一大ブームである。