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仮想敵は“グーグルとアマゾン”
ヤフーが目論むクラウド対策

 2月24日、日本最大のポータルサイトを運営するヤフージャパンは、450億円を投じて、ソフトバンクの100%子会社でデータセンター専業のソフトバンクIDCソリューションズの全株式を譲り受け、翌25日に同社を吸収・合併した。

 ソフトバンクIDCは、非上場企業ながら、2008年3月期の業績は売上高98億円であり、株式を公開しているデータセンター専業のビットアイル、さくらインターネットなどよりも大きい業界最大手。ソフトバンク系だが、NTTの真藤恒総裁(故人)の三男で、三井物産メディア事業部出身の真藤豊氏が社長を務めている異色企業としても知られる。

 ここに来て、すでに自前のサーバを分散して持っていたヤフーが、データセンターそのものを傘下に組み込んだ理由は、はっきりしている。世界的な新潮流である「クラウド化」(手元にサーバを置かず、インターネット上に雲のように浮かぶ巨大なコンピュータ群を、必要に応じて利用する形態)への対応であり、これまで弱かった一般企業向けのサービスを拡充する。

 「自らの意思で、臨機応変に新しいインターネット系サービスを拡張して、SaaS(必要に応じて、インターネット経由で利用できる低料金の情報処理サービス)などのクラウド・コンピューティングの領域を取り込む」(ヤフー幹部)

 すなわち、仮想敵は米グーグルや米アマゾンとなり、Google Apps(無料または低料金で提供する情報処理サービス)やAmazon EC2(仮想サーバの時間貸しサービス)などに対抗する。

 IT専門調査会社のIDCジャパンは、07~12年の国内におけるデータセンター事業の市場は年間平均成長率が11.5%と予測する。今後、大容量の動画配信が増えてトラフィックが急増することを考えれば、地味な存在だが、隠れた成長産業なのだ。

 ヤフーが抜け目ないのは、ソフトバンクIDCを組み込む際に、設備系の会社を建屋ごと本体に吸収する一方で、営業部門を切り離して法人開拓の別会社を立ち上げたことだ。関係者は、「現在、ソフトバンクでもヤフーでもない中立的な社名を検討中」と明かす。

 なぜなら、日本のヤフーは、米国本社との取り決めで、インターネット系のサービスではヤフーの名称を使って、現地法人がある中国や韓国に出られない事情を抱えているからである。

 だが、企業のデータを預かって安全に運用するデータセンターの業務ならば、その制約は受けない。国内は新規開拓を進めながら、北九州を拠点に東アジアでの“突破口としての受注”も視野に入れる。ヤフーが温める成長戦略は、なかなかにして大胆である。

(『週刊ダイヤモンド』編集部  池冨 仁)

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