映画《かずら》がお陰さまで好評だそうだ。1月30日公開以来、レイトショーにもかかわらず、立ち見が何回も出る大盛況。3週間の予定が6週間に延長されたという。
主役を務めるさまぁ~ずの三村マサカズさん、大竹一樹さんの人気ももちろんだが、カツラをただ笑うのでなく、ほんとうにハートウォーミングな映画に仕上げてくださった監督、スタッフに心から感謝したい。
まだご覧でない方はぜひお出かけください。カツラの人も、髪が薄くない人もきっと楽しめる作品です。
さて、その映画のキャッチコピーはこうだ。
「カツラーは、好きのあとにもうひとつの告白がある」
誰かを好きになったとき、気持ちをどう伝えるかは永遠のテーマ。カツラーの場合はさらにもうひとつ、もっと大変な難関が待っているわけだ。
「オレさ、実はカツラなんだよ」
好きになった相手に、たったそれだけの告白ができず悩んでいるカツラーがいまも日本のどこかにたくさんいるはず。
(もし嫌われたらどうしよう)
(ウソをついて彼女と付き合っていたと思われたら……)
カツラーの不安は尽きない。
私の場合は、結婚してからカツラにしたので、家内は最初から知っていた。
恋愛がカツラーの敵(?)だってことは、初めて本を出版したあと、読者からのメールを読んで実感した。
〈好きな人ができました。まだ付き合い始めたばかりです。たぶん、近いうちに次のステップに進展しそうです。カツラだと正直に伝えてからエッチをすべきか、エッチをしてからカツラだと伝えればよいか、悩んでいます。小林さん、どうしたらいいでしょう。〉
まだ20代だという青年からのメール。恋愛相談は苦手だが、
〈やっぱり、きちんと告白するのが先じゃないでしょうか〉
と私はメールを返した。数日後に、報告のメールが来た。