【第9回】 2008年10月03日
地方経済の疲弊を構造改革のせいにする愚
前回は、日本の成長力を高めるには企業がクリエイティビティの要素をもっと重視しなければならず、政府の政策もそれを後押しすべきである旨を説明しました。今回は、潜在成長力と並ぶ経済政策の重要な課題である地方活性化のためには何が必要で、政策はどう関わるべきかを考えてみたいと思います。
これまでの政策の失敗
これまでの地方活性化に向けた政府の政策は、だいたい以下のパターンに分けられるように思います。
1)予算のばらまき(公共事業、農業、商店街など)
2)流行りの産業の誘致(ITなど)
3)地元の公的機関の活用(大学を活用した産学連携、地銀を活用したベンチャー支援など)
しかし、地方の現状を見てお分かりの通り、これらの政策の多くは失敗に終わっています。それは何故でしょうか。
(1)が短期的な効果しか発揮しないことは明らかでしょう。多くの地方では農業と建設業が主要産業なので、そこに政策としてアドレスすること自体は正しい。しかし、それらの非効率な体制を変えることなく予算をつぎ込むことは、競争力のない地方経済をそのまま維持するだけで、中毒患者にモルヒネを打ち続けるに等しいのです。
かつ、政府が史上最悪の財政赤字に苦しむ中では、永続性のないその場凌ぎに過ぎません。それよりも今必要なのは、農業の競争力を強化すること、競争力のない建設会社の事業転換を促進することであり、そのための政策が予算ばらまきでないことは明らかです。
ちなみに、小泉政権以来の予算削減の煽りで、既に建設業の事業転換の成功例も出始めています。政府に甘え続けられないと諦めたからこそ自力で頑張り出したのであり、麻生政権がそうした時計の針を逆行させないか心配です。
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著者プロフィール
- 岸 博幸
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)
1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス非常勤取締役を兼任。
この連載について
メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。
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