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岸博幸のクリエイティブ国富論

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米WSJ紙より教訓の宝庫!
英FT紙のネット課金モデル

 遂に衆院選が告示されました。公職選挙法の関係もあり、8月30日までは政治や政策の話題には触れにくいので、本論に戻ります。先月まで、新聞の新たなビジネスモデルの方向性について説明しましたが、おそらく現段階でベストと思われるビジネスモデルに挑戦する新聞社が現れました。英国のフィナンシャル・タイムズ社です。

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 多くの新聞社が、ウェブ2.0の狂騒に洗脳されて数年前の段階で無料モデル(広告収入を当て込んで、無料で記事をすべて公開してアクセス数を稼ぐ)に移行しました。しかし、ネット広告の単価は年々下落する一方であり、かつグーグルなどの検索サイトのリンクによる搾取の対象となっただけで、ネット上では大した収益を上げることができませんでした(ざっくり言って、紙の広告の1/10程度)。経済危機によりウェブ2.0バブルが終焉し、ネット広告市場全体が縮小を始める中で、新聞社も“無料モデルでは儲からない”という現実に気がつき出したのです。

 そうした中で、フィナンシャル・タイムズ社は当初からネット上で課金モデルを継続する数少ない新聞社の一つでした。2002年から今日に至るまで、ネット上での課金を継続しています。ちなみに、ネット上で毎月お金を払っているユーザの数は昨年で11万7千人と、ウォールストリート・ジャーナルの100万ユーザよりは圧倒的に少ないのですが、スタンダード課金、プレミアム課金、ネットと紙の統合課金などの様々な料金体系を維持しており、例えばプレミアム課金は年間300ドルと、かなり高額な料金を維持しているのです。その結果、昨年のオンライン収入は前年比30%も増えました。

 このように、同社は既にかなり安定的なネット収入を課金システムで得ていたのですが、最近は更に新しい収益源を作ろうと活発に動いているのです。

 その一つが、記事毎のマイクロ・ペイメントです。来年から、これまでの定期購読を前提とした課金体系に加え、記事単位で課金するシステムを導入する予定のようです。

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著者プロフィール

岸 博幸
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス非常勤取締役を兼任。

この連載について

メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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