「環境問題が、大切な問題だということは、わかっているが・・・」
「でも、何から始めたらよいか、わからない」
「むしろ、環境問題と言われれば言われるほど、胡散臭さを感じてしまう」
このようなことを感じているビジネスマンは、きっと少なくないと思います。頭では理解出来ているものの、「腹に落ちない」という感じでしょうか?
世界銀行の南アジア地域の副総裁を務められた西水美恵子さんは、著書「国をつくるという仕事」の中で、「(世界のリーダーと言われる人は)“頭とハートが繋がっている”から、為すことが光る」と述べています。
おそらく、多くのビジネスマンが、「環境問題が、腹に落ちない」と感じている理由とは、頭とハートが繋がっていないからなのではないでしょうか?
ならば、環境問題を考えるには、まず頭(理解=論理性=左脳的思考)と、ハート(実感=感性=右脳的思考)を繋げるところから始めたらよいのではないだろうか――今回の連載シリーズを始めるきっかけは、そんなことを考えたことからでした。
そう言えば、私が銀行員だった時、財務諸表等の数値データから見ると問題がないように見えても、どうしても融資に踏み切れない案件がありました。まさに「腹に落ちない」という状況です。「腹に落ちない」案件は、結局、融資に踏み切ることが出来ませんでした。
環境問題もこれと同じことが言えます。頭では何となく理解出来ていても、何かが引っ掛かって、納得できない=「腹に落ちない」状況では、なかなか、行動に踏み切ることは出来ないものです。
今回の連載シリーズでは、巷にあふれる「腹に落ちない」環境のニュースやキーワードを、頭(論理性)とハート(感性)の両面から捉え、「なぜビジネスマンの腹に落ちないのか?」を読み解いていきたいと思っています。
頭とハートが
繋がる瞬間とは?
第1回連載にあたり、私の経験の中から、“頭とハートが繋がった事例”をひとつ紹介したいと思います。
これは、私がメガバンクを退職し、ap bankというアーティストが設立した、環境融資を行なうNPOバンクの融資担当理事だった時の話です。
ある期の融資審査会で、「ゴミ袋をデザインする」という案件がありました。この案件に対し、まず出された意見は、「ゴミは減らすものだから、ゴミ袋をデザインするということは、環境問題に逆行するのでは?」というものでした。
この意見について、皆さんはどう思われますか。ちなみに、このプロジェクト概要は、次のようなものでした。
1)ゴミ袋自体を、ひとつのシグナルと捉える。
2)デザインされたゴミ袋の利用により、ゴミを排出する他者へのプロパガンダの役割も果たす。
3)また、通常のゴミ袋に比べ、少し高い価格設定を検討し、収益の一部を緑化運動などへ寄付を行なう。