はじめに、「緊急時」という言葉についてまず定義してみたいと思います。

 辞書によると「緊急」とは、「事が重大でその対策・処理に急を要すること」とあります。したがって、企業にとっての「緊急時」というと、

(1)火災や地震、テロ、幹部誘拐といった外からの力によって突然起こる場合

(2)顧客データの流出や欠陥商品、社員の過労死など自社の管理ミスによって起こる場合

(3)粉飾決算、脱税、贈賄など企業が組織的に法を犯した時

などが当てはまります。

 クレーム対応の不手際といった、人命や法的問題ではないような小さな出来事であっても、「東芝クレーマー事件」などのようにインターネットで公開されることで緊急事態になってしまうこともあります。

 あるいは、緊急時ではない、通常のマスコミ報道での「誤報」が、経営にダメージを与える事態を引き起こすこともあります。企業が加害者なのか被害者なのか、何が原因で起こった事態なのかによって、マスコミへの対応方法は異なります。そのことについては後ほど述べるとして、ここではいったん、企業における緊急時とは、「会社に損失をもたらす重大な事件・事故で、その対策・対処に急を要する場合」と定義して話を進めることにします。

対応を誤るとダメージは深刻
「法律は守っている」は言ってはいけない言葉

 マスコミ対応の失敗とは、例えば、