2016年夏季オリンピックの実施競技の候補から野球とソフトボールが落選した。

 13日、国際オリンピック委員会(IOC)の理事会がベルリンで開かれ、追加される2競技の選定が行われた。候補はラグビー(7人制)、ゴルフ、野球、ソフトボール、空手、スカッシュ、ローラースケートの7競技。出身地域で見ると、ヨーロッパ6、アジア3、アフリカ3、アメリカ2の14人の理事によって投票が行われ、ラグビーとゴルフが残ったのだ。10月に行われるIOC総会にこの2競技が推薦され、ここで過半数の賛成が得られれば正式に実施競技として採用される。

 まだ正式決定ではないが、ここまで来れば決まったも同然で、ラグビー・ゴルフ関係者はガッツポーズ、野球・ソフトボール関係者はガックリ、と明暗が分かれたのである。

 野球は92年から08年まで5大会、ソフトボールは96年から08年まで4大会連続で正式競技として行われた。これだけ続けば定着してもよさそうに思えるが、次回の12年大会では除外されてしまった。これは野球におけるアメリカの対応が原因といわれている。

日本人が思っているほど
国際的な人気はない

 夏季オリンピックの開催時期はMLBのシーズンと重なるため、メジャーリーガーは出せないという態度を取ったことと、IOCの厳密なドーピング規定に従おうとしなかったことだ。ソフトボールにはそうした問題はなかったが、アメリカは野球と同様、この競技の発祥国でありリーダー的存在。野球と一蓮托生の扱いを受けた感がある。

 まあ、アメリカの野球ファンはMLB優先で、オリンピック競技になることにそう執着はないようだが、慌てたのはその他の野球・ソフトボールが盛んな国である。

 中でも落ち込みが激しかったのは日本の関係者だ。野球は5大会で銀1、銅2、ソフトボールは4大会で金・銀・銅各1個ずつのメダルを獲っている。メダル有望競技をふたつ失ってしまうのだ。また、オリンピックに出るかどうかは競技の人気も左右するし、補助金の額にも影響する。16年大会では正式競技へ復活させるため、ロビー活動を必死で行った。が、それは実らなかったのである。

 落選の報を聞いた日本の両競技関係者は一様に落胆と疑問の声をあげた。その代表格が北京五輪野球日本代表監督だった星野仙一氏のコメントだろう。「野球の面白さがIOCに理解されず非常に残念。こう言っては悪いが、注目度の低い競技が実施競技に残っているのは疑問だ」

 確かに、なんでこんな競技が残っているの?と言いたくなるものもある。だが、野球だって日本人が思っているほど国際的に人気がある競技ではない。むしろ、マイナースポーツなのだ。