大谷にドジャースが求めるさらなる貢献Photo:Harry How/gettyimages

 大谷翔平(30)ほど重い責任が肩にのしかかっている野球選手はいない。

 大谷にとって、ホームラン数で米大リーグ(MLB)のトップに立ち、ほぼ毎日のように盗塁し、かつて例がないようなことをグラウンドで普通にやってのけるだけでは十分ではない。彼に期待されているのは、巨額のスポンサー収入を生み出し、日本という国のグローバルアンバサダーの役目を果たし、何十年も人気が下り坂だったスポーツを独力で活性化することだ。

 しかし今、ロサンゼルス・ドジャースはあちこちにひびが入っており、大谷にさらにもう一つのことを求めている。

 ドジャースは大谷に投げてもらいたいのだ。それもできるだけ早く。

 現在、けがで戦線離脱を余儀なくされているドジャース投手のリストは、恐らくそれだけで優勝争いができるくらいだ。サイ・ヤング賞を2度受賞したブレーク・スネル、剛速球投手のタイラー・グラスノー、日本人の天才ルーキー、佐々木朗希はいずれも故障で離脱している。リリーフ投手陣の主要メンバーであるカービー・イエーツ、ブレーク・トライネン、エバン・フィリップス、マイケル・コペックも同様だ。

 負傷者リスト入りしているドジャースの投手14人の今季の年俸は、合計でおよそ1億0200万ドル(150億円)に達する見込みだ。これは他の6球団のそれぞれの年俸総額を上回る。

 結果として、資金力で集められる最高のチームになるはずが、最近は驚くほど平凡になっている(それでも5月31日には18対2でニューヨーク・ヤンキースに大勝した)。ドジャースは5月を15勝12敗で終えた。先発投手の成績はMLBで最低の水準にあり、チームはもはや沈まぬ船ではなく、グラグラして今にも崩れ落ちそうなジェンガのタワーのように見える。