断りのシールを張っても無効とはひどい
改正特定商品取引法が12月1日に施行されたが、報道によると、消費者庁は、この法律の運用指針で、「訪問販売お断り」といったシールを玄関に貼っても訪問販売拒否の意思表示として無効だと判断することに決めたようだ。
今回の改正法では、訪問販売をいったん断った消費者に対する再勧誘を禁止しているが、消費者は、勧誘を一度は受けないとその訪問勧誘を断ることができない、ということになる。
「誰に何を断っているのかあいまいで、業者の訪問を拒む意思表示にならない」という理由付けらしいが、「訪問販売お断り」というシールは、全ての訪問販売セールスを断りたいという極めて明確な意思表示だ。どうしてこれが不十分なのだろうか。
消費者は訪問勧誘を事前に断る自由を持てないのだろうか。
これまで、幾つかの自治体では「全ての訪問販売をお断りします」「お帰りください!」などと書かれたシールを配布して、営業勧誘を好まない市民が訪問販売を拒否できるような対策を講じてきた。こうした自治体では、今回の消費者庁の判断に当惑しているという。
しかし、消費者庁の取引・物価対策課の丸山進課長は「シールを張るだけで拒絶の意思表示と捉えると、営業の自由にも触れかねない。訪問販売そのものが死滅しかねない」と、消費者が玄関などにシールを張って訪問販売を拒絶することを「無効」としようとしているようだ(12月7日「朝日新聞」夕刊)。この人物はいったい誰を守りたいのか。
全ては顔を合わせるところから
そもそも、どうして訪問販売のセールスマンの相手をしなければならないのだろうか。オートロックのマンションなどで、インターフォン越しに断ることができる場合はまだいいが、セールスマンと直接顔を合わせてしまうことがあるような構造の家に住んでいる場合、どうしてもセールスマンと顔を合わせて話を聞くことになりやすい。