「勝者のゲーム」と資産運用入門

FOMC後のマーケットを展望 ―日経平均は年内に再び3万円を目指す。逆金融相場に入れば下値メドは2万1000円。太田忠の勝者のポートフォリオ 第31回

2022年5月11日公開(2022年5月10日更新)
太田 忠
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

今年のマーケットを占う上で分水嶺となる5月のFOMCの結果は?

 前回のコラムはボラティリティをテーマに書いた。ボラティリティは相場と付き合う上で非常に重要なポイントであり、個人投資家がよくしがちな「ボラティリティが大きい方が儲かりそう」という考えは間違いだという点も指摘した。マーケット全体のボラティリティを考える上で極めて参考になるVIX指数(恐怖指数)も紹介したので、ぜひとも日々のチェックを怠らないようにしていただきたい。

 さて、今年のマーケットを占う上で分水嶺となる5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表された。そこで今回のテーマはズバリ、「FOMC後のマーケットを展望する」である。

 なぜ5月のFOMCの結果が重要かと言えば、3月のFOMCでゼロ金利が解除された後の利上げスピードがどうなるかに加えて、米連邦準備理事会(FRB)の保有資産の圧縮プラン(QT)も示されるからである。この発表を前に、すでに債券市場では長期金利が急上昇して逆イールドが発生する展開となっており、それが株式市場にも大きな影響を与えている。4月のNYダウが「413ドル安、499ドル高、981ドル安、809ドル安、614ドル高、939ドル安…」と大幅安で推移したことは前回のコラムで述べたとおりだ。

Photo:FUTO / PIXTA(ピクスタ)

議長発言を好感して米株式市場は大幅反発したが、翌日に一転して急落

 5月のFOMCの利上げ幅は2000年以来22年ぶりとなる0.50%となり事前予想通り。またFRBの保有資産圧縮(QT)は5月ではなく6月より開始し、6月~8月は毎月475億ドルという配慮がなされた。9月からは950億ドルを上限に引き上げられる予定だ。

 マーケットが一番気にしていた「6月から0.75%の利上げに加速するのではないか」という点については、「0.75%は議論されていない」「6月と7月も+0.50%を想定している」とのFOMC後の会見でのパウエル議長の発言を好感し、会見途中から株式市場は急上昇してNYダウは932ドル高、ナスダックは401ポイント高と今年最大の上昇を演じた。

 ところが、である。翌日の米国市場はNYダウが1063ドル安、ナスダックは647ポイント安と前日の喜びもつかの間、一転急落して上昇分がすべて帳消しとなった。さすがにこれには戸惑う投資家も多かったと思う。

成績が急激に悪化しているヘッジファンドなどの売り浴びせが原因か

 前日の金融政策の発表内容への解釈がわずか1日で急変したとは考えづらい。この急変の背景には、年初からのハイテク株安を受けて、成績が急激に悪化しているヘッジファンドや運用会社が、ポジション整理のため反発後に売りを浴びせた面が強いのだろう。

 逆イールドが発生し(過去8回の逆イールドを検証:株価の天井まで平均18カ月、その間+19%を記録。逆イールド後はしばらく株価が上がることが予想される)、ウクライナ情勢も経験則通りちょうど10営業日後の3月9日につけた日経平均 が2万4717円で底値確認の形になっている。まだ決着は見えていないが、マーケットの不安は徐々に収束中である。

不安定な相場つきでも見通しに変化なし。日経平均は3万円を目指す

  当面のマーケット見通しであるが、年頭から何度も言っているように「テーパリング前後のガタガタ相場から徐々にマイルドな業績相場へ戻る」との見方に変わりはない。5月6日現在の日経平均はちょうど2万7000円であるが、再び3万円を目指す展開になると予想している。

 マイルドな業績相場へ回帰すれば、大型バリュー銘柄の株価は引き続き強い値動きが予想される。金融・海運・商社などはガタガタ相場でも健闘しており、このような業績大幅回復・高配当利回り・超割安の銘柄は強い。一方、グロース株は一段の選別が進み、好業績の裏付け&比較的高い流動性が絶対に必要であり、割高感の強い銘柄は下落が続くだろう(金利上昇局面では一層割高感が強まる)。これはナスダックやマザーズ市場を見ていれば一目瞭然だ。

積極運用に転じた「勝者のポートフォリオ」のパフォーマンスに手ごたえ

   私が助言する「勝者のポートフォリオ」では5月のFOMC後の展開をにらんで、4月の初めから積極運用姿勢に転換(第27回のコラム参照)しているが、順調に推移しており手ごたえを感じている。昨年10月の運用開始時点からTOPIX、日経平均、マザーズ指数いずれをも上回るパフォーマンスをあげているが、さらにここから大きな飛躍を目指している。

 とは言うものの、逆イールドが出たため今後景気減速がやって来る。業績相場の先には逆金融相場が待ち受けている。もし、逆金融相場に突入し、さらに逆業績相場に入るとどうなるだろうか?

 待ち受けているのは相場全体の下落だ。「逆金融相場&逆業績相場」を経験した2007年~2008年初めまで日経平均は-36%、2015年半ば~2016年半ばまでは-29%、そして最も直近の2018年は-22%となった。この経験則に基づけば、来る日経平均の下値メドは2万1000円(直近高値2万8252円から「-25%」の水準)である。大型バリューは相対的に優位、グロース株は一段の下落を見込んでいるが、やはり業績相場とは異なる投資戦略が必要となる。

下落相場が到来しても、それを味方につけて勝てる投資戦略をすでに用意

 ではどうするか? まだ時期尚早なので今は議論しないが、すでに私の方では投資戦略を用意しており、「勝者のポートフォリオ」では下落局面を味方につけて、その後の金融相場で一段の飛躍を目指したいと思う。

 毎日の動きに右往左往していてはダメだ。感情的トレードに流されて、良いパフォーマンスなど上げられない。5月のFOMCを通過したここからは非常に重要な相場局面になると考えている。

●太田 忠

DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。プロが評価したトップオブトップのアナリスト&ファンドマネジャー。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

 この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。

 

国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる

「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!

老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!

太田忠の勝者のポートフォリオ

10日間無料 詳細はこちら※外部サイトに移動します


「勝者のゲーム」と資産運用入門 バックナンバー

»もっと見る

ザイアナリストの2人がやさしく、わかりやすく、徹底解説!ダイヤモンドZAiのオンライン講座「株の学校」
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

「株」全予測
人気株500激辛診断
優待年末年始

2月号12月20日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[「株」全予測/人気株500激辛診断]
◎新春特別企画
2024年に儲けた株&損した株も大公開!
桐谷さんのゆく年くる年

2025年も全力優待ライフ
◎第1特集
2年目NISAの必勝法!
112人のプロに聞いた!
2025年「株」全予測&儲け方

●日経平均は5万円へ!日本株の高値・安値予測
●生成AIブームも半導体は苦戦!
上がる株・下がる株
●国内利上げで銀行・金融が有望!
上がる業種&テーマ
●中央銀行の買いが継続!金(ゴールド)
●トランプ政権下でも下落傾向!原油
●ドル円は年後半に140円台に!為替
●オルカンの次に買う1本も!投資信託

◎第2特集
買っていい10万円株は97銘柄!
<2025新春>人気の株500+
Jリート14激辛診断

●投資判断に異変アリ!
買いに躍進!》トヨタ自動車、ホンダ…など
強気に転換!》ソニーグループ…など
●儲かる株の見つけ方[1]旬の3大テーマ
通期で上ブレ期待/AI関連で恩恵他
●儲かる株の見つけ方[2]5大ランキング
PBRが低く改善に期待の株/アナリストが強気な株/配当利回りが高い株
●2025年新春のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株/新興株/Jリート

【別冊付録】
増益割安株は1178銘柄
上場全3916社の最新理論株価

◎第3特集
トランプ政権下でどうなる!?
人気の米国株150診断
●S&P500指数をプロが大予測

●Big8を定点観測!GAFAM+αを分析!
●買いのオススメ株
トランプ株/高配当株
●人気の124銘柄を徹底診断
ナスダック/ニューヨーク証券取引所

◎第4特集
ザイクラブ拡大版!2024年はどうだった?
ザイ読者の悲喜こもごも&2025年の投資戦略
ザイ編集部員のプチ反省&自慢大会も!


◎連載も充実!

◆目指せ!お金名人
◆10倍株を探せ!IPO株研究所2024年10月編
◆おカネの本音!VOL.29兒玉遥さん
◆株入門マンガ恋する株式相場!
◆マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
◆人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報