「勝者のゲーム」と資産運用入門

FOMC後のマーケットを展望 ―日経平均は年内に再び3万円を目指す。逆金融相場に入れば下値メドは2万1000円。太田忠の勝者のポートフォリオ 第31回

2022年5月11日公開
太田 忠
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今年のマーケットを占う上で分水嶺となる5月のFOMCの結果は?

 前回のコラムはボラティリティをテーマに書いた。ボラティリティは相場と付き合う上で非常に重要なポイントであり、個人投資家がよくしがちな「ボラティリティが大きい方が儲かりそう」という考えは間違いだという点も指摘した。マーケット全体のボラティリティを考える上で極めて参考になるVIX指数(恐怖指数)も紹介したので、ぜひとも日々のチェックを怠らないようにしていただきたい。

 さて、今年のマーケットを占う上で分水嶺となる5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表された。そこで今回のテーマはズバリ、「FOMC後のマーケットを展望する」である。

 なぜ5月のFOMCの結果が重要かと言えば、3月のFOMCでゼロ金利が解除された後の利上げスピードがどうなるかに加えて、米連邦準備理事会(FRB)の保有資産の圧縮プラン(QT)も示されるからである。この発表を前に、すでに債券市場では長期金利が急上昇して逆イールドが発生する展開となっており、それが株式市場にも大きな影響を与えている。4月のNYダウが「413ドル安、499ドル高、981ドル安、809ドル安、614ドル高、939ドル安…」と大幅安で推移したことは前回のコラムで述べたとおりだ。

Photo:FUTO / PIXTA(ピクスタ)

議長発言を好感して米株式市場は大幅反発したが、翌日に一転して急落

 5月のFOMCの利上げ幅は2000年以来22年ぶりとなる0.50%となり事前予想通り。またFRBの保有資産圧縮(QT)は5月ではなく6月より開始し、6月~8月は毎月475億ドルという配慮がなされた。9月からは950億ドルを上限に引き上げられる予定だ。

 マーケットが一番気にしていた「6月から0.75%の利上げに加速するのではないか」という点については、「0.75%は議論されていない」「6月と7月も+0.50%を想定している」とのFOMC後の会見でのパウエル議長の発言を好感し、会見途中から株式市場は急上昇してNYダウは932ドル高、ナスダックは401ポイント高と今年最大の上昇を演じた。

 ところが、である。翌日の米国市場はNYダウが1063ドル安、ナスダックは647ポイント安と前日の喜びもつかの間、一転急落して上昇分がすべて帳消しとなった。さすがにこれには戸惑う投資家も多かったと思う。

成績が急激に悪化しているヘッジファンドなどの売り浴びせが原因か

 前日の金融政策の発表内容への解釈がわずか1日で急変したとは考えづらい。この急変の背景には、年初からのハイテク株安を受けて、成績が急激に悪化しているヘッジファンドや運用会社が、ポジション整理のため反発後に売りを浴びせた面が強いのだろう。

 逆イールドが発生し(過去8回の逆イールドを検証:株価の天井まで平均18カ月、その間+19%を記録。逆イールド後はしばらく株価が上がることが予想される)、ウクライナ情勢も経験則通りちょうど10営業日後の3月9日につけた日経平均 が2万4717円で底値確認の形になっている。まだ決着は見えていないが、マーケットの不安は徐々に収束中である。

不安定な相場つきでも見通しに変化なし。日経平均は3万円を目指す

  当面のマーケット見通しであるが、年頭から何度も言っているように「テーパリング前後のガタガタ相場から徐々にマイルドな業績相場へ戻る」との見方に変わりはない。5月6日現在の日経平均はちょうど2万7000円であるが、再び3万円を目指す展開になると予想している。

 マイルドな業績相場へ回帰すれば、大型バリュー銘柄の株価は引き続き強い値動きが予想される。金融・海運・商社などはガタガタ相場でも健闘しており、このような業績大幅回復・高配当利回り・超割安の銘柄は強い。一方、グロース株は一段の選別が進み、好業績の裏付け&比較的高い流動性が絶対に必要であり、割高感の強い銘柄は下落が続くだろう(金利上昇局面では一層割高感が強まる)。これはナスダックやマザーズ市場を見ていれば一目瞭然だ。

積極運用に転じた「勝者のポートフォリオ」のパフォーマンスに手ごたえ

   私が助言する「勝者のポートフォリオ」では5月のFOMC後の展開をにらんで、4月の初めから積極運用姿勢に転換(第27回のコラム参照)しているが、順調に推移しており手ごたえを感じている。昨年10月の運用開始時点からTOPIX、日経平均、マザーズ指数いずれをも上回るパフォーマンスをあげているが、さらにここから大きな飛躍を目指している。

 とは言うものの、逆イールドが出たため今後景気減速がやって来る。業績相場の先には逆金融相場が待ち受けている。もし、逆金融相場に突入し、さらに逆業績相場に入るとどうなるだろうか?

 待ち受けているのは相場全体の下落だ。「逆金融相場&逆業績相場」を経験した2007年~2008年初めまで日経平均は-36%、2015年半ば~2016年半ばまでは-29%、そして最も直近の2018年は-22%となった。この経験則に基づけば、来る日経平均の下値メドは2万1000円(直近高値2万8252円から「-25%」の水準)である。大型バリューは相対的に優位、グロース株は一段の下落を見込んでいるが、やはり業績相場とは異なる投資戦略が必要となる。

下落相場が到来しても、それを味方につけて勝てる投資戦略をすでに用意

 ではどうするか? まだ時期尚早なので今は議論しないが、すでに私の方では投資戦略を用意しており、「勝者のポートフォリオ」では下落局面を味方につけて、その後の金融相場で一段の飛躍を目指したいと思う。

 毎日の動きに右往左往していてはダメだ。感情的トレードに流されて、良いパフォーマンスなど上げられない。5月のFOMCを通過したここからは非常に重要な相場局面になると考えている。

●太田 忠

DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。プロが評価したトップオブトップのアナリスト&ファンドマネジャー。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

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