ハワイに住んでいれば、極端な気象や自然現象と無縁ではない。この島々はハリケーンや津波、地震の被害を受けてきた。火山の噴火で人が住んでいるところまで溶岩が流れ込んできたこともある。州の最高峰では雪が降ることも珍しくない。
ただ、ブリザード(暴風雪)となると話は別だ。「ビッグアイランド」(ハワイ島)の一部では6日までに最高12インチ(約30センチ)の積雪が予想されており、風速は既に時速80マイル(秒速約36メートル)を超えている。当局は普段あまり出番のない除雪機を準備していた。ナショナル・ウェザー・サービス(NWS)は、ハワイ島にある火山のうち、標高1万3796フィート(約4200メートル)のマウナケアと1万3678フィートのマウナロアの山頂に暴風雪警報を発令した。
ハワイでは数少ないスキーファンには、使われずにいたスキーやスノーボードが発掘される貴重な機会になった。
「軽く10本は滑れるだろう」と話すのはクリストファー・ランガンさんだ。
現役時代は消防士だったランガンさんは、友人が一緒に登りたいと言ったときのために、自宅に余分なスキー板を置いているという。自分の四輪駆動車で友達と山頂に向かうのだ。
「車がリフト代わりだ」とランガンさん。友人に下まで車を移動してもらうか、車は山頂に置いたまま、ヒッチハイクで山頂に戻る。
ランガンさんは、タホ湖の周辺など他のより一般的な山で滑ったことがあるが、太平洋を一望できる休火山マウナケアのコースにかなうものは世界でほとんどないと語る。
ランガンさんによれば、この地形は中級者向けトレイルと同程度の難易度だという。だが、スキーヤーは早く行動する必要がある。スキーができる雪質は1週間か、場合によると1日しかもたないかもしれない。ランガンさんは、道路が再開されたらすぐに、スキーを携えて山頂に向かう予定だ。
ハワイでのスキー歴40年のランガンさんは、少なくとも4年ぶりの猛吹雪になりそうだとの記事を読み、胸が高鳴ったと話す。
プロの山岳スキーガイドをしていたこともあるランガンさんによれば、過去に暴風雪があった時と同様、多くのハワイ住民が道路の再開を待っているという。「封鎖の解除後に山に雪が積もっているのを見れば、人々は家族総出で山に行く。山はそりやスノーボードを持ってきた人で一杯になるだろう」
NWSの気象予報士であるトム・バーチャード氏は数年前に、車で山頂に上り、腰の高さまで積もった雪の中を歩いたという。「地元の人にとっては、雪の中を歩き回ったり遊んだりするのは新鮮だ」
ただ、ハワイでのスキーは臆病な人には向いていない。積もった雪の下にはとがった溶岩れきがたくさんある。風と太陽の熱で意外と雪は薄くなっているため、けがをすることも多い。
この山でのウインタースポーツは、マウナケアをハワイで最も神聖な場所と考えているハワイ先住民の一部からはひんしゅくを買っている。活動家たちは、世界最大の望遠鏡の設置計画に抗議し、2019年には山に通じる道路を封鎖した。マウナケア山頂の管理をしているハワイ大学は、山肌がむき出しになった場所で3人がスキーやスノーボードをしているところが撮影された動画について、不敬だと非難している。
ランガンさんは、人を不快にさせるような害を山に与えないように気をつけており、「雪が溶けた後に、何の跡形も残さないようにしている」という。



