“敗者復活戦”になる、2月の「私立大一般選抜入試」大学入試の在り方に根本的な変化が起きており、「日東駒専」の一角、日本最大規模の日本大学でも学生確保は安泰ではない(日本大学本部)

20年前に施行された個人情報保護法により、合格者の実名報道が困難を来すようになった。多くの読者から期待されていた東京大合格者特集号など大学特集は、その後、どのように変わっていったのか。今年の4月10日号で創刊100周年を迎えた「サンデー毎日」での出来事を振り返りながら、大学入試の変遷についても考えてみたい。(ダイヤモンド社教育情報、撮影/平野晋子)

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“特需”が発生した上位の私立大学

“敗者復活戦”になる、2月の「私立大一般選抜入試」安田賢治(やすだ・けんじ)
1956年兵庫生まれ。灘中学校・高等学校から早稲田大学政経学部に入学。在学中、世界各地を放浪し、占い師の見習いも経験。卒業後、1983年大学通信に。同社常務取締役と情報調査・編集部ゼネラルマネージャーを兼ね、さまざまな媒体に大学情報を提供してきた。中学受験から大学入試まで語れる希有な人材だった。2022年3月13日逝去。

――ここからは2022年入試を振り返りたいと思います。

中根 まず、2回目の大学入学共通テストでは、報道されたように大きく平均点が下がりました。その結果、21年に受験者数を大きく減らした私立の総合大学が、そのおこぼれをもらう形でにぎわいました。

 私は高等教育や地域づくりの話題を追いかけてきたこともあり、法政大学の大学院に2年間通っていました。この2月に入ってから、一度も使われなかった大学院棟が試験会場になって立ち入り禁止になるくらい、今年は共通テスト終了後の駆け込み受験が多かったようです。

後藤 コロナ感染予防対策もあるでしょうが、青山学院大の試験会場に國學院大の校舎も使われていましたね。

中根 一方で、共通テスト利用型で国公立大と併願できないような私立大は、増えるどころか受験生が軒並み減っています。

 大学は20年度、21年度くらいから二極化しています。偏差値50を切るような大学の入学者の人数を見ると明らかですが、2月の一般選抜入試で入ってきている人が両手で数えられるくらいしかいないのです。

後藤 これは年内で合格者を出し尽くした「江戸川大ショック」(19年度)というやつで、望みの綱だった大学を一般選抜では受けられないから、年内に総合型選抜(AO)や学校推薦型入試で早く出願しろ、となったことがあります。日東駒専(日本・東洋・駒澤・専修)クラスは年内に入った方が楽だ、というのが高校に伝わっている。

 21年度入試では合格の出し方にどの私大も苦しんだので、今年度は補欠合格に順番を付ける大学が多くなりました。これにもまた難しい側面があって、なまじ順番が付いていると、他の大学の繰り上げ合格発表をみんな待ってしまうようになる。

中根 入学手続きをすると入学金を取られてしまうから、できるだけ情勢を待つ。

後藤 法政大の補欠番号を持っていて、専修大の合格をもらったときどうする、といった問題が今年度は大きかった。