「主体性」って何?校則を“変えたい”か“守るべき”か校則を「変えたい」と「守るべき」が対立する生徒会での話し合いの結末は…? イラスト:ソノダナオミ

子どもが学校に行きたくない理由には、校則や指導方法、生徒間や先生との人間関係など多岐にわたる。いじめをはじめ、さまざまな学校の問題を調査し、提言を行う真下麻里子弁護士は、学校で問題を議論する際には「法律の考え方」を生かしてほしいと述べる。どういうことなのか。ある中学校での「校則の変更」を想定したケーススタディーを用いて考えてみよう。

学校の問題を「法的」に考える

 新学期が始まる時期になると、「学校へ行きたくない」という子どもの声が、いつにも増して聞かれるようになります。「行きたくない」度合いに個人差はありますが、いじめが原因であるなど、深刻なケースも少なくありません。

 前回のシリーズでは、学校でのいじめ問題に焦点を当て、いじめ防止対策推進法(いじめ防止法)の考え方を紹介しながら、いじめを早期に発見し、重大化を防止するための共通認識づくりについて検討しました。今回はもう少し学校で生じる問題の対象を広げ、「学校に行きたくない」さまざまな要因を、個人の尊厳を守る(=自分も相手も尊重する)という「法的思考」の視点から分析してみようと思います。

 とはいえ、学校の問題に「法的思考」と言われても、なかなかピンときませんよね。もしかしたら、「問題を起こした生徒への罰則の話?」と思われた方もいるかもしれませんが、そうではありません。これについては後段でお話しさせていただきます。

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