人材サービスを展開するAdecco Groupのグループ会社で、エンジニア派遣などを主力とするModis(モディス)が2023年4月1日、AKKODiS(アコーディス)コンサルティングとして生まれ変わる。単なる社名変更にとどまらず、人材派遣からコンサルティングへと業態変換するなど、大胆な変革に乗り出す。このような大変革を手掛ける真意や今後の成長戦略などについて、22年5月に就任した北原秀文取締役兼COOに取材した。

エンジニア派遣から伴走型コンサルティング会社へ

 Adecco Groupのグループ会社でIT、R&D領域のエンジニア派遣に実績を持つModisが、主力事業をE2E(エンド・ツー・エンド)のコンサルティングとする会社に業態変換、社名もAKKODiSコンサルティングに変更する。

 Modisといえば、エンジニア派遣では実績も定評もあり、業界内では知られた存在だ。毎年10%程度の平均成長率も維持している。それなのになぜ、コンサルティング会社に業態変換するのだろうか。

 Modisは現状でもコンサルティング事業を行っている。

 10年前から、現場での知見を生かした問題解決サービス「バリューチェーン・イノベーター」をはじめ、コンサルティング業務を実施してきた。しかし、多くは「現場における問題解決」に限定されたスポット的なものであり、売上高構成比を見れば、依然として8割以上をエンジニア派遣が占めている。

「世間からは、Modisは『THE派遣会社』という見え方であり、コンサルティング会社としての社会認知が低く、知見はあっても、特に中長期視点に立ったコンサルティング業務の受注はあまりできていなかった」と北原秀文取締役COO(以下、北原COO)は指摘する。

 加えて、主力のエンジニア派遣についても、北原COOは「これまでの成功に甘んじてはなりません」と強調、「幾つかの課題を抱えている」とあえて厳しい見方をする。

「主力のエンジニア派遣は、継続的な成長を遂げていますが、これは慢性的なエンジニア人材不足という市場におけるオーガニック成長に寄るところが大きく、業界でも中堅のポジションを脱却できていません。これまでは、未経験者からのエンジニア養成研修を手厚くしていたため、今後よりニーズが高まるハイレベル人材の研修基盤についてはまだまだ発展途上の段階です」(北原COO、以下同)

 本格的にコンサルティング会社として認識されるには、「属する業界自体から抜け出し、業態を変えることが必要」という訳だ。

 そもそも企業の事業価値を示すEV/EBITDA倍率(企業価値が償却前営業利益の何年分かを表す指標)を見ると、人材派遣業界は10倍だが、コンサルティング業界は20倍。現在以上に、企業としての生産性や収益性を高めるには「コンサルティング会社への転換」が効果的という側面がある。

 もっとも、Modisがコンサルティング事業を強化するのは、もっと根本的な理由がある。

次ページでは、「日本が失った30年を取り戻したい」と言う北原COOが目指す、変革した日本の姿を紹介する。