※経済産業省「電子商取引に関する市場調査」(令和3年度、令和4年度)より

「自動化」の倉庫で物流の課題を解決

「物流において効率化を図り生産性を向上させるというのは、より多い荷物をできるだけ速くさばく処理能力を高めることです」とアッカ・インターナショナル(以下アッカ)の秀洋一社長は指摘する。大和ハウスグループ傘下であるアッカはEC分野に強みを持つフルフィルメント(商品が注文されてから顧客に届くまでに必要な業務全般を受け持つ)プロバイダーだ。

「そのためには単純に自動化を進めればいいということではなく、大きな視点に立ったソリューションが求められています」と、そのアッカとタッグを組むExotec®(エグゾテック)Nihon(以下 Exotec)の立脇竜社長は解決策を示す。Exotecは、2015年にフランスで設立されたユニコーン企業で、世界の大手企業にマテリアルハンドリング(運搬や移送、仕分けなど)の自動化ソリューションを提供している。

倉庫自動化ソリューションで実現する、物流がボトルネックではなく「強み」となる日48台のロボットが商品をピッキングし運搬する(DPL平塚)

 現状、自動化された倉庫も多くなっているが、実は課題も多いという。「今ある従来の自動化倉庫の技術やデザイン、コンセプトは、EC拡大以前に作られており、現状と合っていません。コロナ禍後は特にECの商品需要の変動が大きくなりました。予測が困難な上、少量多品種の取り扱いが増えたので在庫の最適化が難しい。これでは一定量の注文を集めてからまとめて処理する従来のバッチ処理ではもう間に合いません。ほかに、迅速な配送の要求が増えているにもかかわらず人手不足や人件費高騰という課題もあります」(立脇社長)。

 秀社長が続ける。「従来の自動化倉庫は、倉庫自体が一つの“大きな機械”のようなものでした。そのため今ある倉庫の拡張や変更がしづらいのです。これからは状況がますます変化し、未来予測ができません。ですから今後、どんな事態になっても柔軟に対応するという視点や、ソフトウエアも併せて課題を解決するという考え方が必須です」。
 
 このような自動化倉庫の課題、EC市場の急拡大と人手不足・人件費高騰、2024年問題など激変する物流業界。その中で勝ち残るソリューションとはどのようなものなのか。次ページから詳しく解説する。