国内物流の約9割を担うトラック輸送。いまや経済や暮らしに欠かせない社会インフラだが、そのトラック輸送機能を支える“なくてはならない存在”がトラックターミナルだ。日本自動車ターミナル(JMT)は1965年の創立以来、環状7号線の外周部に立地する4カ所の公共トラックターミナルの運営を通じて、首都・東京の物流を支え続けてきた。

藤田裕司社長は「大型車両による長距離幹線輸送と小型車両による都市内集配業務をつなぐ結節点、いわばハブとしての役割を担うことで、創立以来の理念である『物流の合理化』『道路交通の円滑化』『都市機能の向上』に貢献してきました。特積事業者(特別積合せ貨物運送事業者)の皆さまに使い勝手の良い施設を適切な料金で提供し、日本の物流を下支えしていく――それが当社の不変的な存在意義です」と語る。

「第二の創業」で確信した圧倒的ポテンシャル

「100年企業」への挑戦。共に歩む物流新時代「持続可能なトラックターミナル」日本自動車ターミナル
藤田裕司
代表取締役社長

都内一等地に東京ドーム14個分、敷地面積にして約65万平方メートルに及ぶ4カ所のトラックターミナルを運営するJMTだが、将来にわたって特積事業者に向けたトラックターミナル事業を安定的に運営していくためには、経営基盤の強化が欠かせない。そこで、新たな成長戦略としてJMTが持つ土地を有効利用した物流センター事業へ踏み出した。創立50周年を迎えた2015年に、京浜トラックターミナル(東京都大田区)内に高機能型物流施設「JMT京浜ダイナベース」の建設を決定し、18年7月に竣工。続いて、21年7月には葛西トラックターミナル(東京都江戸川区)内にEC大手・アスクル向けの専用施設「JMT葛西A棟」を竣工した。ラストワンマイルの配送拠点としての圧倒的な立地優位性に加え、防災機能や災害時の事業継続性の高さが利用企業から高く評価され、物流センター事業は順調に歩みを進めている。「『第二の創業』ともいえる大きな挑戦でしたが、当社のトラックターミナルが持つ都市型物流拠点としてのポテンシャルの高さを改めて確信することができました」と振り返る。