物流の効率化がビジネスを伸ばす原動力になる
アッカが提供する自動搬送ソリューションには、AGV(自動棚搬送ロボット)を使ったものもあるが、23年6月、Exotecとパートナーシップ契約を結びSkypodシステムの提供を始めた。「扱う商材によってお客さまに最適な提案をするためです」(秀社長)。
その第1号がアパレルや日用雑貨を手掛けるパル社のECサイト「PAL CLOSET(パルクローゼット)」に提供するフルフィルメントサービスだ。大和ハウス工業が手掛ける物流施設「DPL平塚」内のパル社の倉庫では、Skypodシステムが稼働している。「実際に稼働して感じることは、当社が扱う商材にはSkypodシステムが最適だということです」と秀社長は高く評価する。
一方、立脇社長は、アッカがECサイトに不可欠な「ささげ業務」(撮影・採寸・原稿作成)から、オムニチャネルに対応する在庫連携システム、倉庫管理システムを一貫して提供するといった「フレキシビリティーを持つ会社であり、Skypodシステムの強みを生かしていただける会社です」とウィンウィンの関係であることを強調する。
Skypodシステムは、すでにファーストリテイリング(ユニクロ)や、ヨドバシカメラといった物流を競争力の源と位置付けている会社に導入され、高い評価を得ている。
では、人海戦術とロボットを比較した場合、生産性はどのくらい違うのだろうか。秀社長は「ロボットの方が人の手よりも3倍程度生産性が高い」と話す。「DPL平塚では48台のSkypodロボットが稼働していますが、同程度の生産性を期待しています。また、Skypodシステムは高い棚(DPL平塚では5メートル)が組めるので空間を有効に利用できます。今までの保管スペースに比べて4分の1程度で済むので非常に経済性が高い」。
Skypodシステムを導入したフランス企業の例では、「ECで受注をしてから出荷までの時間がわずか5分というサイトがあります。それでいて商品を取り違えるミスも大きく減る。また、人員が10分の1程度に減った例もあります」(立脇社長)。人手不足により倉庫で働く人が集めにくくなっている物流企業にとっては朗報だ。倉庫内を1日10km、20kmという単位で歩き回る必要がなくなるので人材の定着率が上がる効果も期待できる。
そして何よりも「Skypodシステムを導入することで、物流倉庫をプロフィットセンター(利益を生み出す部門)化できる」というのは秀社長、立脇社長の一致した見解だ。今ある課題を自動化で解決するというシステムは珍しくないが、プロフィットセンター化できるシステムは他に見当たらない。ただし、プロフィットセンター化とは、物流によりお金を稼ぐという意味ではなく、物流をお客さまそれぞれのビジネス成長の原動力、競争力の源泉にするという意味だ。
ECビジネスはこれからどんどん形態を変えていく。それに追随できる物流システムを導入しているかどうかでその勝敗が決まる。経営の素早く賢明な決断が求められている。