ロボットとピッキングステーション、ラックで「自動化」を実現
従来の倉庫では、部分部分では最適化され素早く動くように設計されているが、全体的な流れが調整されていないため、一連の作業を全て任せることができない。「自動化倉庫とはいうものの、実は大勢の人が働いている現場が多い」と立脇社長。
現状に合った自動化倉庫を提供する豊富な実績のある秀社長の元には、倉庫がうまく稼働しない・活用できないので活用方法を教えてほしいというコンサルティングの依頼も多くあるという。「結局のところ、商品の需要増などを想定せずにハードウエアを作ってしまったことが原因です」。
一方、アッカが顧客に提供しているECに対応した自動化倉庫は、融通の利かない“大きな機械”ではない。Exotecが提供する、“EC拡大後”に開発された、ロボットがスムーズに働く「Skypod®(スカイポッド)システム」が稼働しているからだ。
1987年、大和ハウス工業入社。主に産業用建築物の営業を担当。2019年3月茨城支社長就任を経て、22年3月アッカ・インターナショナル代表取締役に就任。
Skypodシステムを構成するのは、注文に応じて商材をラック(棚)から取り出してピッキングステーションまで運ぶSkypodロボット、商材の出庫作業をするピッキングステーション、商材を保管するラックの三つだ。シンプルな構成だから「既存の自動化システムに比べて導入期間は半分から3分の1程度」(立脇社長)だという。
倉庫の中では数十台から数百台のSkypodロボットが毎秒4メートルの速度で動き回るが、決して衝突することなく、それら全てのロボットが遊ぶことなく作業をし続け、目的の商材をラックから取り出す。ラックは最大12メートルの高さまで対応可能で、Skypodロボットは苦もなく昇り降りする。状況に応じて各ロボットが商材を運搬する無駄のないスムーズな動きは見事というほかない。
機械であるロボットは一定時間稼働すればメンテナンスが必要になるが、Exotecコントロールセンターにおいて24時間年中無休で遠隔監視することにより、「9割以上のトラブルを未然に防いでいます。また、万が一トラブルが起こっても、影響が全体に及ばない設計です」(立脇社長)。
このような世界でも類を見ない画期的なシステムを開発したからこそ、「事業が拡大しても倉庫の棚を増やしたり、併せてソフト構築を行いより便利にしたりと、将来の変化への柔軟な対応ができるのです」と立脇社長は優位性を強調する。
ロボット工学を応用した倉庫自動化を提供するグローバル企業Exotecの日本・APAC市場統括責任者。欧州を中心に海外での勤務は14年以上に及び、日本、ドイツ、イタリア、米国の産業機器リーディング企業でセールスマーケティング責任者、カントリーマネジャー やリージョナルマネジャーを歴任。前職Cognexのジャパンディレクターを経て、Exotecに入社。日本で工学学士、ドイツで経営学修士の学位を取得。
しかもこのSkypodシステムは、棚やロボットというモノを販売することが目的ではない。「導入コンサルティングや導入後のメンテナンスも含めたトータルソリューションを提供して、倉庫の効率を高め、生産性を上げることが目的です。自動化の倉庫を持つことでEC市場の急拡大、多様化に対応し、現状の人手不足・人件費高騰の悩みが解消されるのです」(秀社長)。
ハードウエアだけを売るのではなく、自動化を約束するソリューションを売るビジネスモデルは、マテリアルハンドリング業界では異色だ。しかも、個別企業ごとにカスタマイズするのではなく、全ての顧客のビジネスモデルに合うようSkypodシステムを標準化して販売している。
「Skypodシステムはハードウエアとソフトウエアを組み合わせて提供します。ソフトウエアに柔軟性があり、いろいろな要望に対応できることはもちろんですが、それを支えるハードウエアにも柔軟性を持たせています。そのためソフトウエアが変更されてもハードウエアが追従して、お客さまが求める新しい環境にも適用できるのです」(立脇社長)
例えば従来の自動化倉庫ではロボットの動線が決まっているので、ビジネス環境が変化した場合に柔軟な変更が難しかったが、Skypodロボットなら最適な動線に変えたり、一時的な需要増に合わせて台数を増やしたりと自由自在だ。