「移動」「運搬」の概念が大きく変化するモビリティ領域
「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる。」を2030年のビジョン「KDDI VISION 2030」に掲げるKDDI。このビジョンを具現化するビジネスプラットフォームとして、同社が始動させたのが「WAKONX」だ。
「WAKONX」の最大の特徴は、AI enabledな三つの機能群である。
KDDIグループがグローバルに展開する膨大なIoT回線や、スマートフォンといったマルチなコンタクトポイントから収集したデータを24時間365日運用・保守する「Network Layer」、大容量・大規模な計算基盤を活用して、収集したデータをセキュアに蓄積・融合・分析する「Data Layer」、そして、DXに必要なAIやソフトウェアを業界ごとにファインチューニングして提供する「Vertical Layer」で構成されている(図1参照)。
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KDDIは、このプラットフォームを通じて、主に「モビリティ」「物流」「小売・流通」「BPO(業務アウトソーシング)」「放送」「スマートシティ」の六つのテーマが抱える業界課題や社会課題の解決に貢献することを目指している。
「WAKONX」の講演の中でも、自動運転やドローンなどの先端テクノロジーが次々と投入され、従来の「移動」「運搬」の概念が大きく変わろうとしている「モビリティ」関連の取り組みには、多くのイベント参加者が注目していた。
その取り組みについて、「KDDIと共に進化するモビリティ社会」と題する講演を行ったのは、KDDIビジネス事業本部モビリティビジネス本部副本部長の相澤忠之氏だ。モビリティと通信といえば、車がネットワークに接続する「コネクティッドカー」が思い浮かぶが、実はKDDIがモビリティと関わってきた歴史は長い。
「2000年代初めにテレマティクスサービスを開始して以来、20年以上の歴史を歩んできました。特に、国内の主要自動車メーカー向けにグローバル通信プラットフォームの提供を開始した19年以降、KDDIがサポートするコネクティッドカーの数は全世界で累計2800万台以上と、爆発的に増加しました」と相澤氏は説明する。
この膨大な数のコネクティッドカーから日々送信されるデータを収集・加工・分析することで、高付加価値なモビリティサービスの提供が可能になる。これがモビリティ領域におけるKDDIグループの大きな強みだ。